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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第三十三話part3

 海をなぜか平気で走る鬼の二人。そんなことはもちろんだけど育代は出来ない。彼女には力があるが、だからって力でなんでもできる訳じゃない。小頭は力さえあれば……とか思ってるかもしれないが、育代はなまじ力があるからそれがちゃんとわかってる。


(私にできる事は……)


 そんな事を思う育代。すると彼女の中から声が聞こえてくる。


(出来る、できるよ)

(教える、教えるよ)

(大丈夫、やってみて)

(皆味方、味方だよ)


 そんな声。不思議な感覚だっだ。振り返るも誰もいない。けど……まるで沢山の人が見守ってくれてるかのような……そんな確かな確信が育代にはある。まさかここまで老いた自分に、こんな感覚が訪れようとは……と育代はおもってる。

 それに期待。


(うん、これは期待だ)


 それを今、感じてる。それがおかしい。だって既に育代は老体といっていいくらいだ。初老くらいだろう。既に人生は余生に入ってる。夢とか希望を語るよりも、人生を振り返る時期だ。なのでそんな自分に期待が再び集まってるのがおかしいと思ってる。

 もう人生の主役の時期は終わって、それは子供たちに譲ったと思ってた。そしてそんな子供たちも親になって今は孫たちが世界の中心にいる。なのに……今ここで自分の出番があるという……


(でも、おばあちゃんなんだから、良いところを見せないと……)


 孫の目があるのだ。だから育代はもう失敗できないと思ってる。孫である小頭のキラキラとした目。それを向けられたら、おばあちゃんは無限の力が湧いてくるという感じである。


 なので育代は手を向けた。


(こんなのただの呪い『まじない』程度の物だったのに……)


 昔からこんな力が跋扈してたのか? それをちょっと育代は考えてた。でもそんな強力な力が本当に呪術師にあったのなら、きっと育代のかつての村はあんな廃れなかっただろうと思う。

 けど実際育代の育った村はもうない。


(こんな力があったのなら……)


 そのもしも……はもうなんの意味もない。でも今はただありがたいと思ってた。だってこの力の……知識のおかげで、育代たちは足軽を助け出せるかもしれないから。


 育代にはあの海坊主に勝てるような腕力を出す術はない。なにせ育代の力は若返りというか、老化とかそんなのの操作に近い。それはつまりは肉体への干渉? ともいえるだろう。

 それを他者に施すなんて今までは考えもしなかった訳だけど、新たに得た知識が、育代の考えを拡張した。自身の力の本質……それを捉えるのが大切なのだと知ったのだ。

 なんとなく使ってた力。それを知ろうとして、そしてそれをどういう風に使えば、鬼たちに頼るだけじゃなくできるのか……そもそもが海坊主をただ倒すのではだめなのだ。

 それは他の強力な妖怪たちにだって言える。ただ倒すだけなら、鬼二人で出来そうな程に彼らは強い。それは育代だってもう認めるしかない。

 でも……妖怪たちを『使役』するのは育代の役目なんだ。


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