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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第三十話part3

「なに? この音は……扉から?」


 そんな風におばあちゃんが言ってふと一歩を踏み出した。そしてまた一歩また一歩とおばあちゃんが歩き出してる。


「おばあちゃん?」


 野々野足軽は視線を扉から横を通り過ぎたおばあちゃんに向ける。おばあちゃんは足軽の声には反応してない。それどころか……


(なにか様子が……)


 そう思った足軽はおばあちゃんを止める。そもそもが近づかせる気なんてない。だからこそ、前に出てたんだ。なのにふと気づくとおばあちゃんは前へと進んでた。おばあちゃん自身も近づこうとはしないと足軽は思ってた。なにせなんといってもやばい雰囲気がビンビンと発してたからだ。そんなあからさまな地雷に突っ込むような向こう見ずではないと足軽は思ってた。でもおばあちゃんは、おばあちゃんの時はとても落ち着いた雰囲気を纏った女性だが、よく考えたら幾代の時は反対の元気いっぱいの女の子だった。

 どっちが本当のおばあちゃんなのかはわからない。若返ってるときは、意識してそういう風に演じてた……と足軽は思ってた。それは多分間違いじゃないとは思う。だって……今のおばあちゃんは明らかに様子がおかしい。視線はまっすぐに扉だけを見つめてる。


「おいおい、なんだこれ?」


 ドクン・ドクン――と脈打つ扉に向かってるのはどうやらおばあちゃんだけではなかった。この山の野生の獣たち……それらが沢山、いやこの山の全ての動物たちなのかもしれない。それらがこの扉の周囲に集まってる。なにも発さず、ただまっすぐに扉を見つめてる。異様な光景だ。なにせ野生動物がこれだけいるのに、どの動物たちも一切鳴き声を発しない。そんな事あるだろうか? きっとおばあちゃんもこの動物たちと同じ状態になってる。


「どうやったら元に戻せるんだ? 俺には精神を回復させるような力はないし……」


 小頭の友達の草陰草案みたいな癒す力は野々野足軽は持ち合わせてなかった。でも自身の自己回復力を上げる……とかなら出来た。けどそれでどうにかなるのか? と疑問が起こる。だって別におばあちゃんは外傷があるわけじゃない。精神を操られてる感じだ。とりあえず雰囲気的に飲まれてはまずいと足軽は自身の力を自分とおばあちゃんを包むくらいに広げてみることにした。実際なんの影響でおばあちゃん……だけじゃなく野生動物たちを操ってるのかわからないからだ。

 このドクンドクンという音が怪しいと思うが、それが本当に原因かはわからない。


「さて、次は……」


 どうするか――と思ってると、視界がぶれた。野々野足軽は気づくと飛ばされて近くにいた野良犬にぶつかった。


「へ?」


 何が起きたのかわからない。いきなり吹き飛んだ。まさか攻撃? と思ったが、おばあちゃんを引き留めてた足軽の腕がなんか変な方向に曲がってた。


「つっ……まさかおばあちゃんが?」


 そう思って視線を前に向けると、おばあちゃんがさらに前に進んでる。変な方向に曲がってる腕を気にしてる場合じゃない。


(早くおばあちゃんを止めないと)

 


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