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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第二十五話Part5

「貴方たちは一体何なんですか!?」


 堪能されてしまった野々野小頭はもうどうでもよくなったのか、尊厳を破壊されて自暴自棄になってるのか、二人の鬼へとそう啖呵を切った。暑い日差しの中、鬼の二人はその日差しさえ涼し気に受け流してる。小頭はそうはいかない。だって小頭はただの人間だ。超能力だってもってない。二人の鬼がその拳を向けてきたらそれに抗う術なんてない。その凶悪な牙に噛まれたら、細い小頭なんて簡単にかみ砕かれそうだ。けど言ってしまった。

 もう取り返しはつかない。小頭の心臓はバクバクと早鐘のように鳴っている。。これまでは大人しかった鬼が、これらも大人しいなんてのはわからないのだ。


「一体何って? 私たちは友達……でしょ?」


 鬼女がそんな風にいってくる。けど小頭は頭を振るう。だって知らないのだ。小頭が友達になった女の子は決して目の前のやつじゃない。


「違う! 私の友達はあんたじゃないし、私のお兄ちゃんはお前じゃない!!」


 二人の鬼に対してはっきりと言い切る小頭。すると、ニコニコとしてた鬼女も、そして硬い顔が標準だった兄になりすましてる鬼も、真顔になった。二人は合流して打ち解けてた。

 その時間がいつあったのか? と小頭が思うほどに……だ。それはこれまでの足軽と幾代の関係性だったのかもしれない。でもそれでも、眼の前の二人は小頭が知ってる二人じゃない。二人じゃないんだ。その関係性が築けてる事がおかしい。

 そうじゃないだろうか?


 ジャリ――


 二人が同時に一歩を踏んだ。二人が見下ろして来る小頭からは距離と身長差の関係か、顔に影がかかってみえる。怖い……そう感じて後ろに下がった。けどそれに合わせるよう二人の鬼も一歩進む。擦るように足を動かして後ろに下がる小頭。

 けどすぐに小学校の門の所に背中を付けることになった。横を見たら〇〇小学校という看板が見えた。ここから逃れるには門を乗り越えて小学校に入るしかない。横に逃げる……というは無理だ。


 なにせ門の両側は土手みたいになってる。田舎らしく両側にも畑があって、きっとこの小学校は周囲よりも低い場所に建てられてるからそうなってるんだろう。つまりは逃げ場は小学校の敷地内だけ……けどすでに鬼二人は小頭に近づいてた。二人共高い背で小頭を見下げてくる。周囲が明るいほどに、見下げる二人の影は濃くなる。

 それが怖くて怖くて……じわっと目尻に涙が止まる。溢れ出しそうになった時、ポン――と頭に手が置かれた。そして聞こえる声。


「済まない。こんなことになって……」


 その声には申し訳無さが確かに聞こえた。兄ではない鬼。成り代わったと思ってた鬼。けどどうやらこの鬼もそれは本望とかではなかったのかもしれないと小頭は思った。


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