表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
586/822

第二十四話part1

 その日、とある日本の九州地方の片田舎……そこのある地域が地図から消えた。赤黒い球体がその場所を丸ごと飲み込んでしまったのだ。外から見たらそこにはまるでぶちまけた絵の具が渦巻いてるような……そんな感じだった。


 色んなニュース媒体でそれは報道されてる。はじめは個人のSNSだった。その近くに住んでる人たちの投稿。その発信から、警察が出動して、何やら完全防備してるような、そんな人たちまで出動し始めてた。そしてその街へと続く道路は全て封鎖。

 緊急事態的な非常令が総理大臣から出されてた。一体この禍々しい球体の内側がとうなってるのか……外側では沢山予想がされてた。すぐにきっと超能力者のせいだ!! というのは満場一致で言われてた。


 なにせあんなことが他に誰ができるのか……というからだ。外の方ではきっと覚醒してしまった超能力者の力が暴走してるのではないか? という意見が八割をしめてる。

 あとはどうして今度は田舎なのか? とかこの力はどんな力なのか? とかそんな意見が色んな所で言い合われてた。そんな風に外の方では色々と騒動になってるが、内側はどうなってるのか。


 内側は内側で大変な事になってるのか? 外側の人たちはそれも想像するしかない。最悪の事態だって想定してるだろう。もしかしたらこの渦の中ではもう何も残ってない……なんてことだって……とか外の人達はおもってるだろう。

 だってその渦の中には何も通ることはできないのだから。皆が不安に思ってる。いきなり現れた気味悪い色の球体に。



「ううーん! はえ?」


 野々野小頭は朝日を受けて布団から起きる。いつもはシングルベッドに寝てる小頭だが、おじいちゃんの家ではベッドはない。だから畳に布団を敷いてねてる。

 そんな布団からモゾッと起き上がる小頭。外から差し込む日差しは既にかなり強い。今日も既に九時くらいはいってるかもしれない――とおもった。兄である野々野足軽はいつも隣でねてる。横を見てみると、まだ布団は大きく膨らんでた。

 珍しいな――と思う小頭。足軽は最近はいつも小頭よりも早く起きてた。だからまだ布団が盛り上がってるのが珍しかった。それに……


(気のせい? なんか背中が大きいような?)


 そんな事を思ってた。でもとりあえず夏休みだからっていつまでも寝てたら母親に小言を言われてしまう。なのでとりあえず兄にも声をかける小頭。


「ちょっと……ねえ……おい」


 最終的にゲシッと蹴る小頭。それでモゾッと動いたことを確認する。うん、なんだか寝ぼけてるからか、かなり布団も大きく見えるような? とか思ったが、小頭は寝ぼけてるから――と自分に言い聞かせた。


「早く起きないとお母さんがうるさいよ」


 そんな事を言って立ち上がる小頭。窓に近づいて窓を開けて田舎の空気を吸い込む。車の匂いとかしない、自然のにおいが肺を満たす。


「ん?」


 なんか空に見えたような気がするが、きっと気のせいだろう。そして振り返る。そこには起きたであろう兄が……野々野足軽がいる――筈だった。


「ふぁあー」


 そんな風に布団から上半身だけ起こして欠伸をしてる。けど……それをやってる存在を見て野々野小頭はピシッとまるでかためられたように固まる。だってそこにいたのは明らかに野々野足軽ではない。

 少なくとも、小頭にはまったくそういうふうには見えない。紫の肌に大きな体躯。足軽とは比べ物にならない筋肉が浮き出てて、そして禿げた頭から生える二本の角。大きく開く口からは凶悪な牙がみえてる。

 それはまるで鬼のような……そんな存在が布団の上で欠伸をしてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ