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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第二十一話part4

「何が何だかわからないけど……やってみるしかないわよね」


 ただ時間が過ぎるのを待ってる場合じゃない。このままじゃ、最悪おばあちゃんは身元不明な子供として、おじいさんの前に出ることになる。もちろんその時は二人のエピソードを交えて、自身が幾代だという事を訴えるつもりだろう。きっとわかってもらえる。でも、不安が消えるわけじゃない。だからこそ、あがくしかない。まだ時間はある。おばあちゃんは時間を確認する。まだ夜中の3時くらいだ。諦めるには早いだろう。おばあちゃんはそう思った。


「私の力なら、私が制御できない道理はないわ」


 そうおばあちゃんは言い聞かせる。でも確かにそうだ。おばあちゃんが誰か他者の介在ではなく、自身の力で若返ってるのなら、自分の努力でどうにかできる可能性はある。とりあえず大の字に寝そべってたおばあちゃんはいつもはできないような、体のばねを利用して「よっほっ」と起き上がってみた。それでもどこも痛くならない……もしもいつもの体でこんな無茶な起き上がり方をしたら、うまく立てずにすってんころりするか、腰か足を痛めるのは確実だった。だからこんな起き上がり方はせずに、普段はゆっくりと体を起き上がらせつつ、腕をその補助に回して、上半身を起き上がらせた後は、脚の動きを確かめつつ、立ち上がる……その動作をやってるおばあちゃんである。


 けど今はまさに一瞬。そしてなんのリスクもない。


「これが若さ……」


 こんな素晴らしい体を取り戻したのに、再び老体に戻らないといけない……そう考えるとちょっと憂鬱になる。でもいくら若さを取り戻したといっても、やっぱりいつもこの状態でいられるわけはない。世間体的にもそうだろう。それに都会ならまだしもここは田舎だ。もしも都会では『力』というのが既に受け入れつつあるのかもしれないが、こんな辺境の田舎ではこんな『力』が受け入れられる筈もなし。おばあちゃんはまずは呼吸を整える。大きく息を吐いて、吸って……を繰り返す。

 静かに心を落ち着けて自身の内を感じようとしてみた。おばあちゃんは普段からヨガとか座禅とか、そんなのをやってたりする。だから自身の内を見つめる……というのはなんとなくわかってたのだ。そしてその結果……


(なんだろう……これ……わからないけど……今までとは違う……)


 今までも座禅を組んで自身の内を覗いてきたおばあちゃんは今の自分の内に波紋を広げ続ける何か……を感じることが出来た。でもそれに対してどういうアクションをとればいいのか……それがわからない。でも落ち着いておばあちゃんは自分自身に語り掛ける。


「これも私……なにも否定する事じゃないわ。そうよね。お願い私なら、私の望みをがわかるはずよ」


 イメージの中で、おばあちゃんにはその何かが流れてくる。自身の足元から螺旋のように上がってきておばあちゃんを包んでいく。一瞬不安がせりあがってくる。恐怖ともいえるだろう。でもそれを表したらいけないと本能で理解したおばあちゃんは耐えた。するとそれはおばあちゃんを全部包んだ。


「ふう」


 現実のおばあちゃんが瞳を開ける。すると視線が高くなってる気がした。再びおばあちゃんは姿見を見た。すると見慣れた老体の女性が映ってた。さっきまで来てた子供用の服がパツパツしてて、かなりひどい恰好になってる。

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