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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第十四話Part4

 グチャ――グチャ――グチャ――グチャ――


 グロい映像が……いや、そもそもが内臓とかある存在でもない靄であったこけし。そのこけしは大きくなってた。三階建ての建物くらいの大きさはあった。それが最後には押し倒されて、そのサルは一心不乱にそのこけしをむさぼってた。顔を突っ込み。腕を突き刺してはまさぐるように腕を押しては引いて、再生するこけしを執拗に破壊していく。

 口に含んで汚い咀嚼音を出したりして、そしてサルは歓喜の叫びをあげていた。


「なんなんだあれ?」

「何が?」

「うおっ……いたのか」

「こっちのセリフ。なんでいつまでも玄関にいるわけ?」


 足軽がサルとコケシの戦いを見てる間に、どうやら小頭が通りかかってたみたいだ。この家では玄関横に増築された形でトイレがあったからきっとそこに行ってたんだろう。それ以前は離れのような所にぽっとん便所があった。


 昔は夜にそこを使うのはとても怖かった記憶がある。所でここを通ったとすると来るときも小頭は足軽を見てるはずだ。その時は何も言わなかったのに、トイレから出てから声をかけるのは余裕が生まれたからなのだろうか? やっぱりトイレに向かうときには人は余裕がなくなるものだ。なにせ催してるからだ。膀胱がいっぱいいっぱいの時はほかの事にかまってる場合じゃないだろう。

 なにせ漏れたりしたら大変だからだ。でも出すものを出した後なら、そんなのは関係ない。きっと小頭もすっきりしたテンションで話してかけてきたんだろう。それに小頭はどうやらラフな格好に着替えてるみたいだ。まあこの暑い中外にいって、そして怖い思いをしたのだ。汗とか冷や汗とかかいただろうし、女の子としてはそのままではいられなかったんだろう。


「別に、ちょっと考え事してただけだよ」

「ふーん、そんな事いって、本当は残念がってるんでしょ?」

「は?」


 何をいいたいんだこいつは? と足軽は思った。残念がってる? 何に? という感じだ。むしろ今はそこそこテンションがあがってる足軽だ。残念感は全くない。なにせ怪獣バトルが見れたのだ。まあキャストがコケシとサルというのはなんか残念だったな……と足軽は思うが、それでもなかなの見ごたえはあったと思ってる。


「だから、幾代ちゃんだよ。本当はもっと一緒に遊びたかったんでしょ? あわよくばまた水着みたいとかおもってたんじゃないの?」

「全く、お前は何もわかってない」

「何がよ?」


 これだから素人は困る――と足軽は肩をすくめてヤレヤレする。こいつは基本的な兄の情報を忘れたのか? と思ってしまう。


「大前提として、俺には彼女がいる」

「「妄想でしょ?」

「違うわ!!」


 こいつはなぜに頑なに兄に彼女が出来た事を認めないのか? もしかしたらそこには実は「お兄ちゃん大好き!」という裏がある……なんて考えになる人もいるかもしれないが、残念ながらそんな期待値は足軽にはなかった。その心はきっとただ単なる負けん気……わがままだと言い換えてもいい。きっとさえない男子と思ってた兄が自分よりも早くに彼女(彼氏)を作ったなんてのは小頭の名誉とプライドが許さないのだろう。


「俺には平賀さんっていう彼女がちゃんといるんだよ。なのに、他の……かわいいからって他の女子にそう簡単になびくわけないだろ。常識だぞ」

「でもクラスの花丸君は今現在三人の彼女かいるって自慢してたよ?」

「それはどう見ても女の敵だろ」


 そんな奴を放置してるなと足軽は思った。クラスの女子で集団リンチしてもきっと許されるぞ。てかそもそもがそんなクズと兄を一緒にするな――である。


「てか俺がそんな奴だと思ってるのかよお前は」

「まあそんな器用じゃないよね」


 流石は妹だ。兄の事をそこそこわかってる。合格点にはまだ遠いが……と足軽は内心で点数をつける。けどそんな兄を見ながら、何やらニタリとしてる小頭。


「けど幾代ちゃんの節々見ながらニタニタしてたの知ってるから」


 そんな事を小頭は言ってきた。

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