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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第十二話Part2

 この村にはもう数棟くらいしか建物はなかった。大体が朽ちてるというか……いや建物自体はあるけど、かなりの腐敗具合で近づくだけでも危ないとわかるような……そんな物ばかりだった。

 下手に近づくと建物の軒先からなにかの動物が走り出すような……そんな朽ち用だ。こんな廃墟となって建物でも、野生動物には野ざらしにならないだけきっといい住処なんだろう。


「なんか不思議な感じがするな……廃墟なんて来たこと無いからそんな風に感じるだけか?」

「ちょっと、変なことを言わないでよ」


 足軽のそんな言葉にくっついてる小頭が文句を言ってる。なにせさっきから全く離れようとしない小頭だ。いつも夏なら――


「汗臭いから近づかないでよ」


 ――とか言われるくらいだ。けど今や、そんなの全く気にしてませんというようにピッタシにくっついてる。これが一回も外にでてなくて、クーラーが効いた部屋の中でずっと過ごしてる二人の実家なら、まだわかる。

 けど今日はこれまでの夏よりも確実に足軽は汗をかいてる。今だって夏の日差しは強烈で、ただ歩いてるだけでも服が体に張り付いてくるほどだし、額から流れる汗が顔を伝って顎から地面に流れ落ちてるほどだ。

 それなのにピッタシとくっついてる小頭。実際足軽のほうが離れてほしいと思ってるほどだ。なにせ……だ。なにせこれじゃあ……


(力使えないじゃん)


 である。実際今の足軽なら、周囲の空気を操って涼しくすることくらい訳ない。まあ空気事態が暑い夏はただ風を起こすだけでは熱い風を招くだけになってしまう。 

 本当に涼しい風を求めるにはそれなりに強い風が必要だけど、常に足軽だけを中心に風が起こってたら流石におかしいからできない。なかなかに涼しいって感覚を自分にだけ起こすのは難しかった。


「それで、ここは実際ただプチ肝試しに来ただけなのか?」

「いやほら、小頭ちゃんバズる光景求めてたでしょ? こういうのもなかなか渋くて良いかなって。それになんとなく涼しいでしょここ?」

「それは涼しいんじゃなくて寒気では?」


 なんかわかんないが確かにここは周囲よりもちょっとだけ涼しい気は足軽も小頭も感じてる。でもそれは涼しいではなく、寒気だと二人共思ってた。けど幾代はそんなのはどうでもいいらしい。

 ただの穴場スポットとして紹介してきたらしい。確かに昔の日本家屋のような家々は趣がある。これで幽霊まで撮れたらたしかにバズるかもしれない。そういう写真を小頭だって求めてた……


「私の求めてたのはこういうのじゃない!」


 ――どうやらこういうのは小頭は求めてなかったらしい。

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