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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第十一話Part2

「はっはっ」


 カシャカシャとペダルを漕ぐ。はっきり言ってかなりの重さになってる。なにせ今は急勾配上がってるからだ。舗装されて綺麗な道路だけど、まるで延々と続く山を登ってるような……そんな感覚に陥る。海側ではなく、ずっと山の中を走ってるからか、登っては下ってを繰り返してる。グニャグニャとしてて、下るときはとても気持ちいいが、登る時は大変すぎた。けど野々野足軽は幾代に置いてかれないように頑張ってる。

 どうやら幾代の自転車はなかなかにいい自転車みたいだ。ギアの数も足軽が漕いでる奴よりもおおい。だから結構幾代はするすると登って行ってる。それに対して野々野足軽の漕いでる自転車は節々から変な音がしてるし、ギアを変えることはできない。いや、三段階くらいのギアはある。でも、なんか手元のスイッチを回してもギアが変わらなかった。そこらへんはもう古いからしょうがないだろう。足軽もそこは諦めた。

 けどそれで一番軽いギアになってるならよかった。でもそうじゃない。一番重いギアになってた。ではなぜに、そんな状態……さらには自転車の状態だけではなく後ろには小頭も乗ってるのだ。それで足軽は幾代についていってるのか。どんなに急こう配な坂で自転車から降りるなんて事はしてない。普通は流石にこれだけの悪条件が重なってると、漕ぎ続けるなんて無理だろう。それこそ鍛えてる人でもないと、この条件で、この急こう配の坂を上り続けるなんて不可能だ。

 けど野々野足軽はのぼってる。実際そこそこ遅い。それにぜーはーぜーはーと言ってる。汗も沢山滴ってる。でも止まる事はない。それはやっぱり超能力のおかげだった。ただの筋力だけでこんな坂を人一人を後ろに乗せて昇るなんてギアがちゃんとしてたとしても無理だ。でもそんな無理を野々野足軽は力によって無理矢理にとおしてた。念動力によって漕ぐ力だけじゃなくもう一つの力で引っ張ってるのだ。だからこそ、進むことが出来てた。


 本当なら無理な事をやってるはずなのに、幾代も小頭もそこに突っ込むことはない。どうやら男の子だし、こんなものか……程度にしか思ってないみたいだ。実際、野々野足軽も楽々と登ってるようには見せてない。めっちゃ大変だけど、なんとか根性を見せて上ってる……風に装ってるのだ。


(こいつ……俺が普通の人間だったらこんなの無理だからな)


 とか内心は思ってた。幾代はその良い自転車で気持ちよくサイクリングを楽しんでるが、力がなかったら野々野足軽は地獄だった。それがわかってるから、文句だって内心では言いたくもなる。


「ちょっ、ゆっくり、ゆっくりだからね!」


 坂が終わったら下りが始まる。それに対して後ろの小頭がそんな風にいってくる。なにせかなり上ったのだ。なら今度はかなりの下り坂が待ってるのは当然だろう。眼の前の坂はちょっとしたジェットコースターのように見える。ちょっと余裕が出来た足軽はふと横を向く。すると山の間から遠くに街並みが見えた。そしてさらに向こうには太陽をキラキラと反射する海……大変な思いをして登ってきたわけだけど、なかなかの絶景にちょっと満悦する。それにこれからは下りだ。下りはとっても楽だろう。

 さらに大きく綺麗な道なのに車はほぼいない。田舎の山道なんて地元のやんちゃ者たちが、峠を攻めてる……的なイメージをしてたが、どうやらそういう輩はいないらしい。


「きゃ――きゃあああああああああああああああああああああああああ!!」


 下りでスピードを上げていくと、後ろの小頭がそんな悲鳴を上げて楽しんでた。楽しんで……?

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