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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第九話Part4

「そんな貪るような事……」


 妹に弁明するように野々野足軽は考えて言葉を重ねようとしてた。なにせこれで兄としても、そして人間としてもその尊厳が損なわれかけてるんだ。流石に妹にこれからもゴミを観るような目で見られるのは困る。


(いやある意味……)


 そんな思考がちょっと野々野足軽に湧き上がる。彼の名誉のためにいうが、それは別にそういう視線に興奮する性癖だから……というわけじゃない。むしろ、最近はちょっと野々野足軽は困るほどだった。


 それはなにか――というと小頭の態度である。野々野足軽が高校に上がって、そして小頭が中学生二年にもなると、彼女も反抗期に入ったんだろう。距離は離れていってた。ここ一年と半年くらいはそこれこそ数えるくらいしか話しをしてなかっただろう。


 家で顔を合わせても「おう」といっても「ん」とか「ちっ」とか返す程度だった。時々声を掛けてくるのも体の良い荷物持ちとか、暇なときにからかって来るときとか……である。

 けど足軽は自分にも同じくらいのときに反抗期があったから、兄として暖かく見守ってたわけだ。まあそれに……力が目覚めてからはそんな些事に気を取られることがなくなったから……というのもある。それまでは小頭の態度にムッとなって、家でも度々喧嘩をしてたこともある。

 それを母親に怒られるなんてのはそこそこあった。けど『力』、『超能力』とも呼べるこれに目覚めてからはそっちに関心が移って野々野足軽は寛大になった。小頭の反抗的な態度にも「これだからただの人間は」とかいう謎の上から目線で許せる事ができるようになった。

 それは全て力という他の誰も持ってない力があったからだ。なのでようやく距離感が最適になってたはずだ。少なくとも足軽はそうおもってた。

 ベタベタしてる感じではない、普通の兄妹の距離感。それだったはずだ。でも……ここ最近はちょっと違った。なにやらいつでも小頭がついてくる気がしてた。

 いや、少しずつそれは確信へとなっていく。そして今も、わざわざ小頭は何もないとわかってて、足軽へとついてきてる。これはまるで昔に戻ったようだった。小学生低学年から中学年まではこんな感じだった。


 その原因も野々野足軽はわかってる。きっと襲われそうになったからだ。きっと小頭は心に傷を負ってしまった。だからこそ、家族の傍を離れるのが怖いんだろう。


(まあけどそれならもっと素直になればまだ可愛げがあるけど……)


 いきなりの距離感の違い。それに戸惑ってるのは足軽だけじゃないんだろう。小頭もそうだ。そしてここ数年はうまく接してなかったから、距離感と言葉がバグってる感じである。

 近い距離感で罵倒されるという感じになってしまってる。なのである意味この引き気味な状況をちょっと理由しても良いのかもしれない……と野々野足軽は考える。

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