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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五話Part1

「つまらなかった?」


 そんな風に目の前の平賀式部はいってくる。野々野足軽と平賀式部は夏休みを利用して二人で映画館にきてた。つまりはそれは所謂世間でいうところの『デート』というものだろう。

 なにせ付き合ってる男女が二人っきりでお出かけしてるのである。これはまごう事なきデートといえる。

 本当なら野々野足軽も平賀式部とのデートでドッキンドッキンと心臓が高鳴ってるはずだ。けど……平賀式部がそんな風に言ってくるくらいには野々野足軽はなんだか心ここにあらず……と言う感じだった。


「いや、面白かったよ」

「ほんとに?」


 その言い方に心を感じなかった平賀式部は顔には出さないが、ちょっとイラっとしてた。だって平賀式部は楽しみにしてた。昨日の夜から万全の自分を見せるために色々と準備をしてたんだ。

 お風呂で出来る限りのエステをして、パックだってして、睡眠時間だって計算して、今日着てきた服だって新たに取りよせた今年の新作である。しかもブランドだ。もちろんそのブランドを自慢したいわけじゃない。だって野々野足軽がブランドに詳しいとは思ってない。

 寧ろ野々野足軽はそこらへん疎い方だろう。でもわざわざブランドの新作を着てきたのは、これがかわいいと思ったからだ。腕や首筋、脇とかは大胆に出てるが、胸から下はふわっとした感じで、足首まで隠してる。さらにはスカートは二重になってて外側の生地はとても薄くて、透けてるかんじなのだ。

 凄く爽やかでいいなって平賀式部は思った。だから見てほしかった。けど……待ち合わせして出会ったとき、平賀式部はちょっと動きをつけて、ひらりひらりとスカートを動かしてた。

 でも、それに野々野足軽は反応しなかった。でもあれは変化に気づかなかったとかじゃなく、呆けた感じだった。その後に顔を背けつつも、野々野足軽は「いいね、それ」とかいった。だからあの時はそれでよかった――と平賀式部は思った。


 でもなにか今日は野々野足軽はきもそぞろだ。「私を見てよ!!」とか平賀式部は言わないが、平賀式部だけがどきどきしてるようでなにか……何か心にささくれが出来るような気がしてる。

 それに同じ映画を見てる時もそうだ。二人でやりとりをして決めた映画だ。楽しみにして今日一緒にみた。スクリーンの中のドキドキだけじゃなく、隣に野々野足軽がいるというドキドキだって平賀式部は感じてた。けど平賀式部は気づいてた。みなかったことしてたけど、野々野足軽は所々でコクリコクリと船をこいでたのだ。つまりは平賀式部と同じようなドキドキを感じてなかった――と言うことだ。

 だって同じようにドキドキしてたら、眠るなんて絶対にできない。そう平賀式部は確信してる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大きな悩みの前には恋愛も疎かになっちゃうかもしれない
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