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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第一話Part3

(やってしまった……)


 そんな風に園田亮は思ってた。実際まさかこんな結果になるとは思ってもみなかった。


(じ、自重しようとは思ったんだ……けど……)


 園田亮はバッドをみる。久々に握ってそして気持ちのいいバッティングが出来てしまった。それによって園田亮が心の奥へと押しやってた野球少年の心がホップステップジャンプして顔を出したといっていい。そもそもがあんな気持ちのいいバッティングなんてのはバッティングセンターでもそんな出来ることじゃない。あんな50球を全部ホームランで打ち返すなんてもちろんだが園田亮だってやったことない。


「実はお前らグルなんじゃ?」


 そんな声が先輩から上がる。今は園田亮が立石の投球をほぼすべてホームランにしてしまった事に対しての話し合いが行われてた。そこに参加してるのは主に三年生だ。なにせ今年の夏で卒業となってしまう彼らは日夜甲子園を目指して練習してる。

 そんな中、こんなパワーヒッターが表れたとなれば、甲子園へはぐっと近づく。この学校は甲子園常連校ではあるが、優勝までは遠いみたいな……そんな学校だった。だからこそ、先輩たちは代を重ねるごとに俺たちの代で優勝をとるんだ――という思いが強くなってる。

 そのためなら二年だって一年だって実力があるのならレギュラーになるのもいとわないという気風があった。だからこそ園田亮の驚異的なバッティングは魅力的だった。けどやっぱりすべてをホームランってのが引っ掛かった。確かに驚異的だ。けど凄すぎる。リアルじゃない。そういう考えがどうしても湧き上がるから、園田亮と立石が組んで園田亮を復帰させるために一芝居撃ったんじゃないか? という声も上がったんだ。


 けどそれならもっとうまくやるだろう……と声もあるし、そもそも立石は本気で落ち込んでた。流石にグルという線は考えづらいとは先輩たちはわかってる。


「おい園田。バッターボックスに立て」


 そういったのは一軍のピッチャー。この学校の野球部のエースだ。その彼の言葉に空気がひりつく。その言葉の意味を皆がすぐに悟った。これは『俺の球をホームランにしてみろ』という挑戦だ。

 そしてそれが出来たら……きっと問答無用で復帰が出来るんだろう。それだけの権力がエースにはあった。彼は野球至上主義なのだ。ピッチャーマウントにたったエースと向かい合うとその存在感に押しつぶされそうな感じさえ園田亮はした。けど……負けるわけにはいかない。だから彼は構えた。


 大きく足を上げるエース。特徴的なその投球フォーム。そして――


カキーン!!


 ――再び気持ちのいい音が空に響いた。

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