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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
45/821

44P

(証拠……なんて残ると思いますか? 私達の『力』に。それを持たない者は自覚さえ出来ません)


(悪役っぽいぞそれ……)


 野乃野足軽は頭の中で「クククク」とか嘲笑ってるアースが浮かぶようだと思った。そしてそれがわかる野乃野足軽でもある。力とは不確定で不安定というか、そこにあってもその力を持たないものには感じようもないものだ。それを力を持たないものは証拠として出すことは出来ない。


 そうなると法の名のもとに野乃野足軽を罰することは出来ない……ってことになる。


(悪者は彼らですよ。このままではあの犬たちは勝手に売られて飼主の手に戻ることはありません)


(たしかにな……でも確実をきすのなら警察に行ったほうが良いだろう。警察なら集団で動いてくれるし)


(本当にそうでしょうか?)


(どういうことだよ? 警察はこういうときのために居るんだぞ)


 野乃野足軽は警察のお世話になるようなやんちゃな性格をしてないから、人生の内で警察の厄介になったことなんかないからイメージでしか無いが、警察の仕事は犯罪を収めることだし、犯罪を未然に防ぐことだろう。それは間違なかったはずだ。


(どう説明するんですか? 貴方はあの犬たちが飼い犬じゃない……なんて証明できません。その警察が来たとして、彼らにあれは飼い犬だと言われたら? それ以上踏み込んでくれるでしょうか?)


(それは……)


 確かに……と野乃野足軽は思った。一体どうやってあの犬たちを盗まれた犬だと警察に通報するんだ? ポスターを見たからそれと同じ様な犬が……って言ってみる? けどそれだけとこの家にいる奴らにアースが言ったような反論をされたら……警察だって無闇矢鱈に調べるなんて出来ないはずだ。絶対に黒とわかってないと、警察は強くは出れないはずだと野乃野足軽は思った。 


 飼い主を呼んでもらってその人達に確認してもらえば……いや……それも水掛け論になる可能性はある。だって実際のところ、人間は犬の見分けなんてついてないだろう。同じ様な姿の犬種の犬なんです……と言われたら苦しい。


 それこそ一目でわかるくらいの特徴があれば別だろう。だが……そんな都合のいい特徴なんて見た限りない。


 犬たちは言葉を話すことも出来ないし……証明する手段なんてのはないんだ。


(わかりましたか? 貴方がやらないと行けないんです。そうしないとあの犬たちは売り飛ばされます)


(でも……出来るのか? 俺の力なんてまだまだ弱っちいし……そうだアースが力を貸してくれれば!)


(それはしません)


(おい!)


 なんでだよ!? って意味で野乃野足軽は声を……いや実際には声を荒らげてないが、頭の中の会話で「そんな事言ってる場合か!?」的に感情を高ぶらせた。


(私の力なんて使わなくてもやれますよ。相手はたったの二人です。それとも本当にその力は何にも出来ない力……だとでも?)


(くっ……)


 野乃野足軽は手を握りしめた。それで手が震えてると自覚する。それにアースに言われたことが悔しかった。だってこの力が、野乃野足軽の世界を変えたのだから。でも実際、野乃野足軽はこれまでで喧嘩なんて事したことなんて無い。妹とは勿論なんどもあるが、それこそ殴り合うなんていう喧嘩なんてしたこと無い。


 それも自分よりも大人で、しかも数の不利まで有るなんて……これで怖くないわけない。でもその時、犬たちの叫びが野乃野足軽に伝わってくる。


((((助けて……))))


 それはアースが勝手にしたことだったのかもしれない。でもその思いが、野乃野足軽を突き動かす。

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