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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
391/826

389P

(反応が遅れる……)


 そう野々野足軽は思ってた。なにせアホみたいに速いドラゴンの対応をしつつ、ドラゴン内部の風の少女……そこまで癒やしの力を届けてるのだ。どっちも油断なんて出来ない。ドラゴンと対峙してる方では既に攻撃の必要性はないかもだけど、けどだからって都合よく一回の癒やしの力で風の少女の心を溶かせるか? という疑念はある。流石に一回では厳しいだろうと、野々野足軽だって思ってた。

 けどまずは手応えが欲しいと思って、とりあえず今は攻撃を続けるんじゃなく、ドラゴンの翻弄の方へと野々野足軽は舵を切ってしのいでる。それでなんとか、頭のリソースを癒やしの力の方へと持って行ってるんだ。


 これが更に攻撃を続けようとするとなると、勿論だけど力の巨人の一部を作るための収束、そしてそれを操る意識、更にはドラゴンの動きを正確に読むための思考……それらがひつようになってくる。流石にそれだけのリソースを今は割くことが出来ないって判断もあった。まずは一度風の少女へと癒やしの力を届ける。それを何よりも優先してのことだ。


「とどけ……届け……」


 既に2つの力の層はこわれて、今やあと一つの層だけがなんとか残ってる状態だ。それも徐々に限界を迎えつつある。なんとか僅かなつながりを辿って力を操作してる野々野足軽。既に傷が完全に塞がってしまってるドラゴンの内部の力を感じるのはとてもむずかしい。取り込まれてなくても、それはとてもか細い、一回瞬きをしただけで見失いそうな……それほどにか細い糸。

 だからこそ、今はそっちに野々野足軽は集中をしないといけない。なにせドラゴンの体にはそもそもが野々野足軽の力が通りにくい。もしかしたら電波を妨害するように、野々野足軽の力を妨害してるのかもしれない。それでもなんとか繋がってる状態。せめてこれでその道を作りたいと野々野足軽は思ってる。

 なにせ今は何もない道を進んでる状態だ。誰も踏破したことがない山に挑んでるような……そんな状態。けど一度目的地に付くことが出来たら、そこに行くまでの『道』ができる。そうなると……だ。そうなると一度目よりも格段に色々と予測できるようになるだろう。層だってそうだ。3つでたどり着けたらそれでよし、心もとないのなら、4つにするとかの対策ができる。でもそれもまずはこれでたどり着かないとだめだ。

 だからこそ、僅かな繋がり必死に維持してる。これだけは手からこぼす訳にはいかない。


パキ……パキキ……


 と層が限界なのがわかる。けどそれでも一瞬で力がなくなるわけじゃない。ただちょっとでも風の少女へと届けば、こうやって助けようとしてると……僅かでも伝わるかもしれない。そうなるともう一度……もう一度彼女には希望が灯る可能性だってある。

 だからこそ、野々野足軽は綻びそうな力を必死にまとめて、なんとか少し……そう少しだけでも、泣いてる風の少女へと届けた。

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