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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
38/821

37P

(あのー)


(あわ……わわわ……)


 なんか慌ててるような感情が聞こえてきた。そして実際そうなのだろう、犬はその場でソワソワ……というかビクビクしだした。更に小さくなって、時折周囲をみる。そして顔を引っ込める。傍から見てると可愛い仕草をしてるようにみえる。おじいさんはそんな犬には気づいてなくて、なんかずっと空をみてる。大丈夫かこの人? と野乃野足軽はちょっとおじいさんが心配だった。けどそれよりも犬である。


(会話……は出来ないし……端的に言うしか無いよな)


 とりあえず怯えを解消なんてことも出来そうにないから、要求だけをすることにした野乃野足軽。まずは力を使ってスマホを覆う。そして地面に置いて、それをすべらせるようにして犬の前にもっていく。


 このくらいなら、もしも見られても、野乃野足軽が滑らせたと思うだろう。勿論なんでそんな事を? とか問われると困るが、そんな質問をしてくる人なんてのはここにはいない。


(これ、知らない?)


 スマホの画面にはさっき撮ったポスターが写ってる。それは犬の写真だ。これで伝われば良いんだけど……と野乃野足軽は思ってる。一応犬はスマホに気づいてその画面を見てるみたいだ。けど何を思ったのか、なにやらスマホを前足でガツガツしだした。ちょっと触れて、距離を取る……みたいな。多分だが、スマホから声がしてる……と思ってるんだろう。


 けどこれにちょっと乗って見ようとおもった野乃野足軽である。


(ちょ……やめて……痛い)


 そんな声が聞こえたからか、またまた確かめるように犬は前足で今度はズダダと連続で犬パンチを食らわしてきた。それに対応するように野乃野足軽も「いて! いて! 」と伝える。すると犬はちょっと自分が上にいる……とでも思い出したのか、言葉が伝わってきた。


(なんだ……お前?)


 まあそうなるよねって言葉だ。けどそれに答えても、犬ではきっと理解できないだろうと野乃野足軽は思ってる。だから会話をするよりも目的の達成を優先するよ。


(こいつ、知ってる?)


(これ、これ? これ)


 なんか犬は鼻を近づけて今度はクンクンとしだした。なるほどと野乃野足軽は思った。犬だからきっと匂いを嗅いでこの写真の犬を理解しようとしてるんだろう。けど残念、流石の現代の文明の利器のスマホでもまだ匂いを再現できるほどに進化なんてしてない。なのであのスマホからするのは野乃野足軽の匂いのはずだ。


「ワンワン!!」


(しまった……)


 犬にこのスマホの所有者がバレてしまった。その鋭敏な鼻で野乃野足軽がすぐ近くにいるとわかった犬は野乃野足軽に向かって吠えだしてしまう。そうなると流石におじいさんだって無関心でいるわけはなくて、野乃野足軽の方を見た。


「すみません。ちょっとスマホ落としてしまって……ワンちゃんを驚かせてしまったみたいです。あはは」


 そうアドリブを効かせて野乃野足軽はスマホを回収してその場を離れた。


「あぶないあぶない」


 公園から離れた所でそう言って息を整える野乃野足軽。どうやらあの瞬間はかなりテンパってたようだ。いきなり犬に吠えられて公園内での注目を一気に集めてしまったのは相当に効いたらしい。


「これおもったよりも大変だな……」


(まだまだこれからですよ)


 もうやめたい……と思ってる野乃野足軽と違って、アースはまだまだ迷い犬の捜索をさせたいようだ。

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