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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
360/826

358P

 光を通してない穴……のような何か。けど実際風はどこかにいってるわけで……やっぱり穴ではあるんだろう。


(こうなったら)


 野々野足軽は手を伸ばした。安全の為に力……で手を覆ってだ。けどそれだと……


「壁のようだな」


 力が通らないのに、力で覆った手がその穴に通るわけはない。力を覆った手ではその穴に拒絶されるように触れられない。ただただ壁があるかのよう。一応力に触れる感触……それを分析してる野々野足軽だが……それは芳しくなかった。

 なにせ初めての感覚。それにほとんど何もない……何も感じない……本当にただの隔たり……それが見えない壁の様に感じてるってだけなんだ。


(これって、そもそも風の子はどうやって塞げと? なんでこれを俺が塞げると思ったんだ?)


 謎だと、野々野足軽は思った。けど風の子は野々野足軽の周囲を飛びながら、「まだ? ねえまだ?」とプレッシャーを掛けてくる。それはなかなかにつらい。言う慣れば今の状況は小さな子どもがキラキラとした目で期待を持って接してくれてる……という状況である。

 少なくとも、野々野足軽はそんな風に感じてた。なのでここで――


「これはちょっと無理」


 ――とか言えなそうな雰囲気である。それに……だ。それに野々野足軽だって興味はある。こんなの見たこともないんだ。興味津々ではあるんだ。


「やっぱりやるしかない……か」


 危険だけど仕方ない……と野々野足軽は思った。そう、それは力を解除して、手を突っ込むということである。実は実験はした。それは周囲に浮かせてる小石である。風を生み出すために周囲に浮かせてる小石。

 これのおかげで野々野足軽は自由自在な翼を手に入れた……と言って過言じゃないものだけど、実際は周囲に浮く小石はただの小石だから、いつだって補充はできる。だから減って困るものではない。まあここは高いから、そこそこ持ってくるのに力はいる。けどそれでも小石だ。今まで頑張って高めてきた力なら何ら問題なんてなかった。

 だからそれを使って、小石を穴に放り込んだのだ。もちろん直前で力を完全に取り除くことを忘れない野々野足軽。なにせ少しでも力が残ってたら、弾かれてしまう。けど……小石からすべての力を取り除くと……これがちゃんとどっかに消えたのだ。

 なのできっと力で覆わない手なら通るかも……と野々野足軽は思ってる。


「真実の口の非じゃないな」


 そんな風に野々野足軽はポツリと呟く。なにせあれには何もない。ただの彫像に空いた穴である。それを観光スポットにする手腕には感嘆だ。

 けどこれはそんな種がわかってるものじゃない。寧ろなんもわかんない穴である。恐怖心は断然こっちだろう。でもこのままだとこの穴を塞ぐ算段だってたてられない。野々野足軽は意を決して手を穴へと突っ込んだ。


(なむさん!)


 ――と思って、更には目も閉じての行動。野々野足軽はビビりだった。

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