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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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2024 新年特別編

あけましておめでとうございます!

 今日は新年だ。世間ではお正月で、皆がまったりとした時間を送る日だろう。もちろん皆が皆……そんな時間を過ごせるわけじゃないかも知れないが、基本的には元旦というのはまったり過ごす日でそんなにまちがってないだろう。


 とうの野々野足軽もそんな認識をしてる。力を得て初めての元旦だ。実はドキドキだった、なにせ……もしかしたらこれが一年をかけた壮大な夢だった……というオチがあるかもしれない。そう思ってた。

 でもどうやらそうじゃない。なにせ……だ。なにせ今、元旦の今日、野々野足軽は宇宙空間にいたからだ。もちろんだが、野々野足軽は宇宙服なんて着てない。あの大仰でゴツゴツとしたやつ。あれ自体にもちょっとした憧れはある。野々野足軽だって一回くらいは宇宙飛行士にあこがれた時期もあったからだ。

 やっぱり男子なら一回は宇宙にあこがれを持つものだろう。けど今やこうやって普通の服装で野々野足軽は宇宙空間まで来てるのである。けど感慨深くはない。だってそんな余裕がないからだ。

 今年の元旦は皆が神に祈ってる。それは新年を祝って……というわけじゃない。じゃあどういうことかというと、そうしないとやってられないからだ。皆が『奇跡』を願ってる。新年を迎えられるように。


「デカいな」


 野々野足軽はそうつぶやく。地球に向かってくる巨大な塊……そう、それは隕石だった。その接近がわかったのが30日くらいだった。いや、本当はもっと前にわかってたんだろう。けどきっと各国の偉い人たちが議論を議論を重ねて、結局のところどうしようもないってことで発表した。

 そういうところだろう。一応対応策も発表された。それは核爆弾を打ち込むというものだ。大量の核爆弾を各国が合わせて打ち上げて、それであわよくば爆散させるか、進路をそらすことが出来れば地球は助かる……というプラン。まあけどすでにそれは失敗してる。

 だからこそ皆がもうあとは奇跡に祈るしかないのだ。そんな中、一人野々野足軽は宇宙空間にやってきてた。皆の未来を……そしてこの母なる星を守るために。


「やれるかな?」

『どうでしょうね。想像よりもかなり大きいです。なるほど核が通用しない筈です』


 隕石を直接見てる野々野足軽はそのスケールがわかる。はっきり言って月よりもデカい。こんなのがぶつかったら地球もパッカーンとするかもしれない。ニュースとかネットの情報とかも一生懸命大きさを伝えようとしてだが、数百なんとかかんとかの数字を見たところで一般人にはそのスケール感を想像することは難しいだろう。

 けど今野々野足軽はその目で見てる。想像よりもさらにデカい隕石。けど宇宙空間というのは不思議だった。はっきり言って、迫ってきてるのか、止まってるのかわからない。なにせ宇宙空間には空気がない。だから風もないし、音もない。映画にはゴゴゴゴゴゴゴ――とかいう音かあったり、隕石の表面にはなんか炎が出てたり……とかしたりしてたような気がするが、そんなのは全くない。ただただ、野々野足軽の周りは静かだった。地球を破壊しようとしてるとは思えないほどに、宇宙空間は静かだ。

 宇宙にとってはこれは別に特別なことじゃないんだろう。ただの日常で、宇宙のどこかではきっと常に起きてること。けど……


「でもやるしかない。こんなの許せるわけないからな」


 そういって野々野足軽は手を前にむける。そしてそれに合わせてアースも同じように手を向ける。そして次の瞬間、野々野足軽とアースにはとてつもない圧力が降りかかってきた。


「んぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!」


 一気に体中から血が噴き出た。こんなのは『力』を得て初めての事。なにせ野々野足軽は力を得て人類を超越したからだ。けど今、野々野足軽は思った。


(死ぬ)


 ――と。けどアースの力が野々野足軽に流れ込んでくる。


『しっかりしなさい。どうやらこれは貴方じゃないと厳しい』

「な、なんだそれ。お前の方が強いだろ?」


 顔の血をぬぐいながら、野々野足軽は気合を入れなおす。アースは明確に野々野足軽よりも強い。それは証明されてる。なのに……野々野足軽じゃないと厳しいなんて、アースがいうとは。


『ここは星の外ですからね。私の力も星の外側までは伝わりづらい』

「なるほど」


 わかるようなことだった。確かにアースは強い。なにせ地球だからだ。けどここは地球の外だ。


「でもなんで俺のほうが?」

『貴方は人という個だからです。私は結局不定形な抽象的な存在です。それだと超大出量の力は安定しません。ですがきちんと個として存在してるあなたなら――』

「お前よりも大きな力に安定と指向性を持たせられる」

『そういう事です。私の力を流しましょう。あなたの鍛え続けた力と合わせて使いなさい』


 その言葉の直後、地球の力が流れ込んできた。そしてさらに……だ。さらになんと地球に存在してる人々の願いも流れ込んでくる。皆が『生きたい』と願ってる。俺は可視化できる程の力をまとってる。

 キラキラとしてたその力はまるで花が開くように地球を中心に八つの花びらが開く。そしてそれか隕石に伸びた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! いけええええええええええええええええええええええええ!!」


 一つの花弁が消える。けどまだある。二つ……三つ……けどそこで隕石がわずかにかけた。さらに四つ目の花弁が消えると同時に亀裂が入る。五つ……六つ……三分の一が剥がれ落ちた。七つで半分になる。そして八つめの花弁がはじけると同時に、隕石が砕けて地球に大量に降り注ぐ。それは大量の流れ星になって皆が今度は新年への希望をささげてた。


 そして野々野足軽は新年で太陽を見てこういった。


「新年、明けましておめでとう」


 ――とね。でももちろん、その活躍をしってる者は誰もいない。

今年もよろしくお願いいたします。

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