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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
32/816

31P

『流れてる物に魂を宿らせるにはちゃんとした範囲を指定することが大切です。今の貴方はただ流れに力を垂れ流してるだけですよ』


「そんな事いっても……川とかにどうしたら……あっ」


 アースに言われてちょっと途方に暮れた野乃野足軽だったけど、そもそもがアクアができた時を思い出した。あの時はコップいっぱいの水に力を通したんだ。だから水だって止まってた。あれが範囲指定だとするなら……川の中でも一部分だけにすれば……


「いや、川の一部を指定しても、その部分の水は常に移り変わってるんだけど……」


 川の何処か……を指定した所で命を宿す予定の水は流れていく……これではさっきと何が違うのか……


「やっぱりこうするのが正解か……」


 そう言って野乃野足軽はひとすくいの水を見つめる。これならこの手のひらの中の水が流れていくことはない。ようは最初にアクアを作ったときと同じ状態を作ったわけだ。


『やらないのですか?』


 ただ水を見つめるだけの野乃野足軽にアースがそう語りかけてくる。日が落ちかけてる河川敷。木枯らしが吹いて、落ち葉を移動させてる。


(アクアを取り戻す事ができるのか?)


(新たな生命ですから。同じ存在では無いですね)


(それにそんなに生きられないのに、逆に下手に会話できたら……ってそうか」


(どうしたのですか?)


 なにかに気づいた様子の野乃野足軽は手のひらに溜めてた水を開放して再び川に戻す。すぐに水は大本の川と混ざり合って流れてく。


(いや、あの時、さっき石に命を与えた時に聞こえてきた言葉……それの意味がわかったんだよ)


(どうして……と言ってましたね)


(ああ……、あれってさ……つまり、どうしてこんな事をしたのか……こんな残酷な事を……ってことだよな)


 命を弄ぶような行為を批判されてんたんだと野乃野足軽は気づいた。とっても短命な命で、それをなんとなくでもわかってしまうらしいその生命。つまりは「こんな命、いらなかった」そんな事を言われてたんだと、野乃野足軽は気づいた。


 アクアはとても楽しそうにしてたが、それこそ数分もない命なんてのはただただ「どうしてこんな命を生み出しだ」と思うしか無いのかもしれない。そんなことに気づいてしまった野乃野足軽。


(流石にそんな事を言われたら気軽に命なんて作れないよ)


(聞かなければいいのでは? そんな事を気にしてても仕方ないですよ。そもそもが輪廻に廻る命を増やすために作ったのです。だから「いってらっしゃい」とでも言ってればいいと思います」


(…………なるほど)


 アースに言われてちょっと心が持ち直す。さっきまでなんていう罪深い行為なんだ……と野乃野足軽は思ってた。それこそ「命をなんだと思ってるんだ!!」とか人権団体とかから抗議が来ても何も言い返せないなってくらいにはおもってた。


 でもそもそもがアースは命を作る目的が違うという。長く生きるための命ではなく、輪廻に回す命を増やすために一次的にこの世に命を生み出してたわけだ。そんなに長く生きてられたら、輪廻に廻す命を増やすって作業にはそもそもが向いてない。


 だからこそ来世で会おう的な意味での「いってらっしゃい」なんだろう。そう思うと、なんか出来るような気がしてきた。再び野乃野足軽は川の水をすくい上げる。そして……再び命を作る事をやってみた。

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