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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
319/826

318P

「綺麗よね。大人っぽいし」


 そんな風に平賀式部がつぶやく。それに対して野々野足軽は「えっと」とかしかいえてない。出来る男なら「そんなことない」とか「君の方がきれいだよ」とか言えるだろう。けど初彼女が平賀式部である野々野足軽にそこまで求めるのも酷かもしれない。

 それにそんな歯の浮くようなセリフは野々野足軽じゃなくても厳しいものがある。このくらいの女の子はどことなく大人っぽいって奴にあこがれてる節がある。

 けど、平賀式部は野々野足軽が思うにそこらのクラスメイト達よりもよっぽどに大人っぽいと思ってる。けど本人はそんなことはきっとないんだろう。

 そんなことも考えて、下手な事を言えない野々野足軽だ。でもなんとか「きっきっ君の……」とか言おうとはしてみる。でも平賀式部を目の前にしてたら顔が真っ赤になって言葉が出てこない。


「あっ、見えそう」


 そんな風につぶやく平賀式部。何が? と思ったら、仮面の男が「あーん」の為に口の所まで仮面を上げてた。


(ああいう行為は無意識なのか?)


 力であの男の認識を誤認させてる野々野足軽だが、ああいう風な行いを自然とやるんだってのは今初めてしまった。なにせ男の方は仮面なんて被ってないと思ってる……筈? 一応仮面を取ったって行為は確かやってない。なにせ……だ。なにせあの仮面をかぶるとイケメンになる……だったからだ。

 そして実際仮面をかぶってイケメンになった(とあの男は思ってる)。でも確かに仮面はそのまま……それを脳は認識してるのかもしれない。あの男にはただの『顔』に見えてるはずなのに……だ。


(脳みそって案外都合良いよな)


 ――とか野々野足軽は思った。だって彼は完全に自分は理想のイケメンになってると思ってる。なのに……だ。無意識化でその仮面を取るような行為をしてる。それは仮面をかぶってると脳は認識してるってことに……


「あの人と知り合いになりたいとか思ってる?」

「え? いや、まさか……」

「ちょっと話してみましょうか?」


 なんかとんでもない事を平賀式部は言ってきた。確かに野々野足軽はちょっとあの女性が気になってる。それを多分だけど平賀式部は女の勘的なもので見抜いてるんだろう。けどそこには平賀式部が心配するような、感情は明らかに野々野足軽にはなかった。

 でもそれをいくら口で説明しても無駄だろう。そもそもが口に出すとそれだけ『言い訳』してるととらえられる可能性の方が高い。気持ちというのは言葉にしないと伝わらないが、言葉にしたとして、本心が伝わるとは限らないのがこの人間同士の悲しいところだ。

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