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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
307/833

306P

「わかんないって……あんたが治してるんじゃない」


「それはそうだけどさ。実際怪我とか、骨折とかなら私だって治ってるなぁーってわかるし、わかりやすいよ。でも体の内側の……それこそウイルスとか疾患とか、癌とか? そんなの治ってるのかどうかなんて私にもわかんないよ?


 私は祈ってるとき『痛いの痛いのとんでけー』って祈ってるだけだし」


「おい」


 衝撃な告白をしてる草陰草案に思わず低い声が出てしまう野々野小頭である。そしてハッとして野々野小頭は一緒にいるダンディーな人の方をみる。けどその人は別にこっちの話には我関せず……という風にしててグラスをキュッキュッと拭いてる。


 けどそれを見ても安心なんてできない野々野小頭である。だってここは密室だ。聞こえないわけない。野々野小頭はお尻半分くらい空いてた空間に詰めよって、草陰草案にピタッと体をくっつけた。そしてさらに顔も近づけて、耳元で手を添えて口元を車内のその人から隠した。


「ねえ、もっと声のトーンを落としなさいなよ。聞かれちゃまずいでしょ」


 そういってちらちらとそっち方向に視線を向けてる。するとバチッとその人と視線がぶつかった。すると人のよさそうな顔でお辞儀をしてくれたから野々野小頭もペコっと頭を下げる。


「あんたは色々と精細な立場なんだから気をつけなさいよ。この車だってあの金持ちの人のでしょ? ならあの人は知り合いでもなんでもないんでしょ? あとで報告とかされたらどうするのよ? 詐欺とか言われるわよ」


「でも治ってたし。小頭ちゃん。私が使ってるのは超能力とかじゃないんだよ?」


「どういうことよ?」


 ちっちっちっとか言いたそうに指を振る草陰草案。言ってはないが、なんかそんな声が聞こえてくるようでちょっとイラっとする野々野小頭。


「し・ん・ぴ 私だってそれが何かなんてわからない『神秘』だよ」


「それでいいわけ?」


「それでいいか悪いかで言ったたら悪いよ。私もアンゴラさんみたいに色々とやりたいようになりたいし。でも私は多分特化型なんじゃないのかな?」


「特化型?」


「私は回復特化ってこと」


 なるほど……と野々野小頭は思った。けど――「でも」――とさらに草陰草案は続く。


「もしかしたら私の力は回復とかそういうのじゃなくて、こういう物体から力を引き出せる……とかかもしれない。だからもしかしたらこれの別バージョンとか手に入れたら、違う力が引き出せるかも」


「え? じゃあ、最近あんたが宝石を買いまくってるのって……」


「ふっ、そういう事だよ小頭ちゃん。私は別に金が有り余ってるから宝石を買いまくってるわけじゃないだよ」


 いや、絶対に違うな――て野々野小頭は思った。

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