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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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304P

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」


 そんな風に感謝を口にして涙を流してる明玲の女性。本当はとても綺麗そうなのに、憔悴しきってて、さらにメイクも何もしないからその美貌が陰ってしまってるそんな経産婦。


 さらにはその後ろには子供抱きしめてるこちらも隈がひどい男性。


「ありがとう……お姉ちゃん」


 男性が抱きしめてる男の子もお礼を口にしてる。彼は難病を抱えた子供だった。今の医学でもどうしようもない病。ただ死期を少しでも伸ばす延命治療しか手がなかったほどの難病だった。


 でも……それを草陰草案は治した。それによって感謝されてる。それにそれはその家族だけじゃない。周囲には沢山の人々がいる。それはこの病院の医療関係者もそうだし、大きなカメラを持ったテレビクルーやら、この様子を生放送してるあらゆる動画配信者たちとかだ。


「凄い……」「そんなバカな……」「まさか本当に?」


 そんな声は医療関係者の人々である。彼らは現代医学を学んでるからこそ「奇跡」というものを簡単に受け入れることは出来ない。でもそれは仕方ないと草陰草案はわかってる。


 そもそもがいの一番に詐欺とか言ってきたのは医者の団体とかだった。「そんなことがこの現代であり得る訳がない」――というものだった。


 でもそれは仕方ないよね――と草陰草案は思った。だってそれが今までの常識だった。不思議な力なんてのは物語の中だけの力でしかなくて、人を助けるのは医学という人類の知識だけ……みたいな考えだ。


 でもそんな医学団体も今やだんまりである。なにせ草陰草案の力がちゃんと人体を治療する……というのを実証したのも彼らだからだ。


 なにせ草陰草案は逃げも隠れしなかった。最初はそれこそ顔出しとかヤバそうだからやめてた草陰草案だが、そもそもが承認欲求が強い奴である。ちやほやされたいそんな女子中学生はすぐに顔を出して医学界に挑戦状をたたきつけた。


 自身の動画チャンネルを作って――


「そんなにいうなら、私の力を偽物という根拠と本物という根拠を示しましょう。あなた達が用意する患者を私が治してみせましょう。


 そして完治したかどうかの判断は貴方達に任せます。どうですか?」


 ――という挑戦状をたたきつけた。そしてそれを受けた医学会の方々……そして完膚なきまでに負けた。いや彼らはまだ経過観察中として結果を保留してる。確かに『完治』とするにはいったいどの段階で完治なのか? という疑問がある。


 骨折とかはそれが繋がったら完治で良いかもしれない。でも神経とかも傷ついて不自由が残ってたら? それは完治とはいえないと屁理屈いえる。


 それにもっと複雑な癌とか難病とかいうのは、それこそ一日二日では『完治』なんて言えないのは当然だろう。それを利用してる医学界は結構ボロクソにネットでは叩かれてる。


 なぜにそうなってるのかというと、その勝負の被験者になった方々が自身で配信とか、それか事情を説明して大手の配信者に接触して「自分は今、元気です。ありがとう聖女様」とか感謝を述べてるからである。


 そうなると……ね。そうなると確かに医学的には『完治』はしてないのかもしれない。なにせ再発する可能性はゼロではないからだ。


 でも現状、病気だった本人が草陰草案に感謝を口にしてる。元気な姿をみせてる。勝負がどうなったのか、世間には明らかだった。


 そしてそうなったら世界中の難病を抱える人たちがなんとか草陰草案を頼ろうとするのは当然だ。なにせ彼女はたった一つの希望。絶望の中に見えたただ一つの光の様なものだ。


 その感動の場面は、世界中で涙を生む。一つの配信はそれこそ何百万……何千万回・何億回って、それにスパチャもいっぱい。桁は億くらいが集まる――そんな世界最高の配信者の肩書もこの短期間で草陰草案は手にしていた。

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