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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
296/832

295P

「ばかにするような……って言ってるけど、草案ちゃんよくマジックやってたよね?」


「うぐっ」


 野々野小頭のスマホから視線さえ上げない何気ない言葉。もしかしたらただ会話をスルーしながらも聞いてて、野々野小頭も無意識的にその言葉を発したのかもしれない。けどその言葉は草陰草案にはクリティカルヒットをかましてた。


「な、なんのことかな?」


 そんな風に視線をそらしてごまかす草陰草案。注目が一気に野々野小頭へと集まる。


「え? なに?」


 するとその視線の気持ち悪さにでも気づいたのだろう。野々野小頭は驚いた。でもなんで驚くってのか周囲の気持ちだ。やっぱり野々野小頭は草陰草案の言葉に無意識的に反応してたらしい。


 それはきっと普段からそうだからだろう。実際、野々野小頭はオカルトになんか興味ない。けど草陰草案とは長い付き合いだ。いや、つきあわされてきた。なので無限に興味ない事を喋り続ける草陰草案対策として、野々野小頭はスルースキルを向上させたのだ。


 その結果、草陰草案に対しては無意識下で反応できる様になってしまった。なので今回注目されてる意味が野々野小頭にはわからないからびっくりしたのだ。


「ほらほら、いいじゃないですか。彼女はこんな話に興味ないし。邪魔しちゃ悪いですよ」


 そう言って再びこの力を公開するのかどうなのかの激論に戻ろうとする草陰草案。けどその言葉にはちょっとイラッときた野々野小頭である。だって……だ。だってここに野々野小頭が居るのは草陰草案のためだった。それなのに……興味ないから……それはたしかにそうだ。けどそんな興味ないとわかってて、これまで振り回してきたのは草陰草案だ。


 それに付き合って、それでも友達だと思ってた野々野小頭。今のは言葉の綾だったのかもしれない。けど……一言言ってやらないとと思った。だってここについてきたのだって、野々野小頭は草陰草案が心配だったからだ。


「なにそれ? 邪魔って私あんたがのこのここんな所に行こうとするから心配して興味も無いのに来たんだけど?」


「だから頼んでないし……それにほら、全然大丈夫だったでしょ?」


 ピッキーン


 ――となにかが野々野小頭の頭の中で切れる音がした。これで草陰草案が「ごめん」と一言言ってくれれば、それで良かった。それでただいつも通りに「仕方ない」で済ませられた。


 でも今のは野々野小頭の中ではなかった。なにせ自身の想いが踏みにじられたような気がしたからだ。


「あっそ……わかった。私帰るから」


 それでも野々野小頭は激昂なんてしなかった。ただ見切りって奴をつけたのだ。そんな野々野小頭の行動に対して、草陰草案は「うん、またねー」とか言ってる。わかってない。野々野小頭の怒りを全くわかってない反応。だから扉を閉める前にこれだけは言ってやると思って野々野小頭は口を開く。


「もう連絡しないでよね!!」


 バタン――と大きな音を立ててあえて閉めた。その行動に会話が止まる草陰草案達。そして野々野小頭はズカズカと玄関を目指す。


「なんなのあれ!? 何なのよバカ!!」


 そんな事を言いながら靴を履いて、ガチャ――と限界を開く。するとそこにはなんかゴスロリチックな女性がいた。


「あ、すみませ……え?」


 なんかニタァァァと笑ったその女性はおもむろに野々野小頭に近づいてきた。いや、近づいてきたと言うよりも倒れ込むように近寄ってきた。そして何やら変な感触が身体に伝わる。冷たいような……熱いような……そんな不思議な感覚。


「なに――かふっ……え?」


 口から溢れる血。何が起こってるのかわからない野々野小頭。足から力が抜けて後ろ向きに倒れた。


(力……はいんない……)


 霞む視界の中で、見えるのはさっきの女。その女は笑ってた変な声を上げて笑って、そして野々野小頭に向かって叫んでる。


「おまえが! お前が近づくから!! あの人に……あの人は私の!! 私のものだ!! 私のなんだ!!」


 そう言って腕を掲げた時、何が起きたのか理解した野々野小頭。その女が持ってたのは果物ナイフだった。野々野小頭は思った。


(ああ、私死ぬんだ……)

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