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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
255/834

254P

「何が……何が効いた?」


 懐に手を入れたアンゴラ氏はそんなことを呟いてる。その言葉は本当にささやかで他の人たちには聞こえてはない。彼は懐に入れた手で何を取り出そうか迷ってる。そこには意味のない模様を書いた小石と、宝石の様に見える安物の玩具の宝石。それに自作のカード。彼はそれの感触を感じながら、どれならここを切り抜けられるのか……と考える。


「っ!?」


 その時だ。何やら暖かい感触を感じた。ただの物でしかないはずなのに、アンゴラ氏が勝手につくって、勝手に設定した筈のその物がなんだか暖かい。その暖かく感じたものを取り出した。それは黄色い宝石(玩具)である。


 確か袋に入ってるセットを10袋くらいセールで買ったはずだ。その額982円位だったとアンゴラ氏は記憶してる。もちろん、それに魔法的な特別な何かがあるわけないだろう。そんな機能があるのなら、そもそも10袋982円のセールなんてやってるわけない。


 それにこれまでもなんとなくこれをもって、呪文をのたまって飛ばしてきたわけだが、何かが起きたことなんてない。それを彼、アンゴラ氏はわかってる。けど――


(きっと今、俺の力が覚醒したに違いない!)


 ――彼はそう思ってこのことに納得してた。アンゴラ氏はオタクでゲームやアニメとかが大好きである。だからこの宝石(玩具)を使う魔法とかも英霊を召喚して戦い合わせる作品のオマージュである。彼はその作品に出てくるヒロインが好きだった。


「ありがとうリン」


 そんなことを呟いて、彼は暖かくなってた宝石オモチャをなげた。その作品のヒロインと同じように何やら詠唱をした。するとなげた宝石がいきなり爆発したようにギャン!! ――と鳴った。


 宝石は一瞬光、暗闇を照らす。その瞬間、わずかにだがその化け物の姿が見えた。


「ひっ!?」


 誰かがそんな声を上げたのがわかった。アンゴラ氏も上げそうになったが、そこはぐっと我慢して、さらに宝石オモチャを投げる。するとそれはその右と左で歪な大きさの腕を叩きつけて、衝撃を伝える。一階部分の大部分が大きくへこんだ。思わず全員が尻もちをつく。そして最悪なことが起こる。


 ゴゴゴゴゴゴゴ――


 と嫌な音が響く。すると猩々坊主がいった。


「まずい!! 崩れるぞ!!」


「扉から外へ!!」


 猩々坊主の声にアンゴラ氏は指示を飛ばす。あの化け物は腕を叩きつけたと同時にいなくなってたから、逃走の方に頭を切り替えることができたみたいだ。背後の扉を開けて、彼らは外に飛び出す。少し警戒したが、外には何もいなかった。そして彼らが十分に建物から離れたと同時に、内部に向かってビルが崩壊していく。


 それはまるで、崩壊がある意味で周囲に被害が出ないようにしてるようにも見えたが……


「地面が凹んだんだしな……」


 ――とアンゴラ氏は納得してた。それにそれよりも、彼は興奮してたのだ。


「アンゴラ氏いいい!!」


「命の恩人だよあんたは!!」


「本当に、其方がいなかったら某たちは……其方の力は本物だ!」


 そんな称賛にアンゴラ氏はとてもそう……とてもいい気になってたのだ。


「いやーでも自分だけの力じゃ……」


 とか言ってるが、「俺凄い!」と彼はめっちゃ興奮してた。

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