表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
228/833

227P

「なに……やってる?」


 埃が充満して視界が悪い中、十字傷の男はなんとか無事だった。鉄骨が倒れてきて、とっさにバウアーをかばったのはいいが、実際あの瞬間「あっ、死んだ」と十字傷の男は思った。


 


(でも、せめてバウアーだけでも)


 そんな気持ちでバウアーを守るように上に覆いかぶさったわけだ。けど、そんな十字傷の男には死は訪れなかった。いくら埃が凄くても少しは――半径一メートルくらいは見える。どうやら運よく? 十字傷の男をよけて鉄骨やら木材やらは散乱してる。


 そうぽっかりとバウアーと十字傷の男の場所だけをうまくよけてる。


(これって……)


 なにかの疑問……疑惑……そんなのが十字傷の男には生まれてた。なにせ……だ。なにせ不自然……それだっだ。こんなことがあり得るのか? と思うのはこの光景を見たら誰だってそうだろう。


「「うわあああああああああああああ!?」」


 そんな疑問を持ってるときにそんな二人の声が聞こえきた。そしてさらには十字傷の男に対する言葉までだ。


(何が起こってる?)


 そう思うの自然な事。だって、十字傷の男は動いてない。もちろんだが、何もしてなんてない。なのに……だ。なのに、聞こえてくる会話は十字傷の男自身と、そして舎弟の二人が争ってるような……そんな会話である。


 十字傷の男は訳が分からない。何か言いたかったが、まるで何かに声が封じられてるように、十字傷の男は声を出すことができなかった。ようやくだがちょっとだけ周囲がわかるようになってきた。その前にも大きく舎弟の悲鳴が響いた。そして一つの人影。立ってるその足元にはなにやらうごめく何かがみえた。


「俺たちをなんで……」


「なんで……捨てるんだよ」


 そんな弱弱しい声が聞こえる。きっとあの足元のもぞもぞとしてるのは舎弟の二人なんだろうと十字傷の男は思った。


(じゃあ、あれは? あれは誰だ!?)


 その疑問はもっともだ。そしてさらに頭を混乱させる声が聞こえる。


「なぁ俺たちの関係はなんでもねえよ。ただ歪なだけだ。それを尊いものだって、大切なものだってお前たちは思ってた。ただ傷をなめあってただけなのにな。


 お前たちも知ってみるといい……愛って奴を」


 それは確かに十字傷の男の声だった。だからこそ、ぎりっと下唇噛んだ。だってそれは誰かが十字傷の男に成りすましてるってことだ。声は出ない……でも、体は動きそうだった。


 けど懸念がある。それはバウアーの事だ。かなり痛めつけられてる……それにさっきの音とかでおびえてる。そんなバウアーから離れるなんて……と思ってる。


 


 でもそんなことを思ってると、男の方から光が見えた。淡い光だ。紫の怪しい光……それがまるで炎のように揺らめいてる。そしてそいつは……その光を二人に押し付けようとしてるのか、腰を落としてる。


 


 その時、バウアーが頭をグリグリとしてくる。まるで「行ってやれ」……そういってるかのよう。そんなバウアーに応えるように一撫でして十字傷の男はその何者かへと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ