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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
216/833

215P

ある日のことだった。


「いらっしゃいませ~」


 そんな声が聞こえたけど、野々野足軽は別に反応なんてしない。まあそれはそうだろう。だってここはコンビニである。客が入ってきたら店員は挨拶をするが、それをわざわざ客が返したりはしないだろう。


 なので反応なんてなく、コンビニでいくつかの商品をピックアップする。水に、軽食をもってレジへ。


「三点で434円です」


「スマホ決――際で」


 一瞬止まった野々野足軽。それもそのはずだ。なにせ店員の顔には大きな傷があった。そしてそんな傷のあるやつを忘れるわけなんてない。


 スマホから決済完了の音がする。そして野々野足軽が立ち去ろうとするとニコニコとした笑顔で「ありがとうございました!」と気持ちよくいってくれた。


ウィィーン


 ――と自動ドアが閉まって、ちょっと離れてそのコンビニを野々野足軽は見てた。


「人って変わるものだな」


(変えたのは貴方でしょう)


「催眠……とかじゃなく、根本から変えることができるってわかったのは楽しかったよ。サイコメトリを鍛えておいてよかった」


 傷の男は変わってた。前はそれこそ周りすべてが敵……そんな感じだった。やることといえば悪いこと。もちろん警察にだってマークされてた。けど留置所から出る時には変わってた。正確にはその時には変わってはなかっただろう。ただショックでとても落ち込んでたというか……そんな感じだったと思う。


 なにせこの現実にはあの男には辛すぎる場所だ。すぐに周囲への接し方が変わるかといえば……そうはできないだろう。けど、暴力をすぐに振るうってことができなくはなってた。なので野々野足軽はこの現実でも癒やしってやつを与えてやったんだ。


 野々野足軽はサイコメトリで動物の思いがわかる。そして伝えることができる。なので飼われてない野良犬とかを使って、あの傷の男に引き合わせてみた。以前のあの男なら、そんな犬でもボコボコにしたかもしれない。けどなんとあの男は野良犬に語りかけた。実際最初はそれだけだった。けど野々野足軽の指示で、同じ野良犬に相手をさせ続けた。もちろん代金は餌である。


 それによって何度も合うその犬に心を開いていってその内金を稼ぎたくなったんだろう。それにどこかにちゃんとすみたくなったのかもしれない。それも犬のために。なのでバイトを初めて、餌だって今や自分でその犬のために稼ぐようにまでなってる。以前のあの男を少しでも知ってるやつなら驚愕する事実かもしれない。


 でも実際、野々野足軽の視線の先には以前とは変わった男がいる。人を変える……変えたその事実。それにちょっとブルっと震える野々野足軽。そして満足したようにその場をあとにした。

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