表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
202/826

201P

「お待たせしました」


 遊具がわずかばかりおいてある小さな公園。暗闇からぬわっと大男が現れたから、野々野足軽は内心「うおっ」とか思ったが、なんとかそれを出さずにこらえることができた。今は夜も更けた21時頃。学生達も寝たり、それかこれから「夜は長いぜ」とか言ってたりして、それぞれの本当のプライベートな時間になるころだろう。


 野々野足軽はご飯も終わらせて、お風呂も終わらせて、あとは寝るだけ……という感じになってる。だがここからは更に力を高める時間ではある。夜な夜な、空に上がって世界を見下げる気持ちいい時間。でも今日は違う。


「どうだった?」


「奴の事はこちらも把握しています。その内、排除しようかと思ってました。ただ、山田奏先輩へと突っかかってので、動向を見守っていた感じです」


 そんな風に桶狭間忠国は言った。


「なんであの十字傷の男は山田先輩に執着してたんだ?」


 野々野足軽はなんとなく偉そうにしつつ、桶狭間忠国の言葉を待つ。本当なら別に会う必要なんてない。こんな夜に桶狭間忠国にはむしろ会いたくないまである野々野足軽だ。


 なにせ寝る前に桶狭間忠国のような濃さの人間に合ってると、夢にまででてきそう……という気がする。


(平賀さん……)


 なるべくこの濃ゆい顔を見ないようしつつ、野々野足軽は彼女を思い浮かべてる。けどやっぱりそれもやめた。


(やっぱり無がいいな。平賀さんだとにやにやしてしまう)


 どうやらの野々野足軽は平賀式部を思い浮かべると顔がだらしなくなるらしい。人生初の彼女だから仕方ないのかもしれない。しかもとびきり美人。男子高校生にはその事実だけでにやにやできるだろう。そして力なんてものを持ってても、野々野足軽は精神は普通の高校生のつもりだ。


「あいつはどうやら昔からやばい奴……として有名だったらしいです。そして山田奏に執着してたのはおそらく――」


 なんか言いにくそうに一回視線をそらして地面を見る桶狭間忠国。けど息を吐いてこういった。


「――あれは男が好きらしいです」


「ん? 実はあの十字傷の男は女だったとか?」


「いえ、性別は男です……」


「なるほど……」


 なるほど? と野々野足軽は自身でも思ってる。つまりはあの十字傷の男は男だけど、男が好きな奴……ということ。


「それって確実なのか?」


 野々野足軽はちょっと信じられない。確かに昨今、性の垣根みたいなのを取り除こう……的な運動が活発だ。だけど、それはどこか遠くのことだと野々野足軽は思ってた。なにせ自身の周囲にはそういう話は聞かないからだ。もしかしたらいるのかもしれないが……


(わざわざ公言なんてしないよな)


 それこそが差別に繋がる考えなのかもしれない。もしもそれが当たり前なら、もっと普通にそのことを話したりするものなのかも。でも世間はそこまで広くはないし、そして野々野足軽はそれが本当にいいことなのかってこともよくわからない。


 だからいえることはこれだけだ。


「そうだとしたら、山田先輩はやっぱり罪づくりだな」


 なにせ異性だけじゃなく、同性だって魅了してしまってる。それを望むか、望まないかはともかく、その魅力があふれてるから、そんなことになるんだろう。なにせ……


(俺はこれまで好かれたことなんて……)


 とか思って野々野足軽は自身の力を感じる。何の魅力もなかったと思ってた野々野足軽だ。でも一つだけ確実に誇れるものが今はある。


「主こそ、これから沢山の者たちを魅了することになります」


 桶狭間忠国がそう言って、まるで確信めいた目を向けてくる。桶狭間忠国は言ってる。力を示せば、いろいろなことが変わると……けど今はまだ、そのつもりは野々野足軽はない。だからこういうよ。


「まだ早い」


「はっ!」


 二人のそんなやり取りは同じ高校の同級生のそれでは確実になかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ひたすら盛られ続ける過剰な設定好き [一言] 十字傷の男はもしかしてド正直に山田くんにラブコール(蛮族)してただけの可能性が…?
[一言] 見たいモノ:超能力の追求、アースとの相互理解、彼女とのイチャイチャ、うじうじ主人公のメンタル強化&成長 ここ最近の展開:その気になればいつでもこの世から消せるどうでもいい男達との意味不明な…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ