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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
200/821

199P

「おいおーい、イケメン君じゃーん」


 そんなことをいって、カフェのテラス席で二人でいた野々野足軽と山田奏にそんな言葉が聞こえてくる。そしてそれを聞いて、山田奏は鋭い視線をした。


「あんた……」


「おうおう、怖い顔するなよ。聞いたぜ、停学になったんだって? 晴れて俺たちの仲間じゃねえーか。よろしくしようぜ」


 そんなことをいって、やけになれなれしくしてくる男は顔に十字の傷があった。野々野足軽もそうだが、山田奏はより警戒してる。けどそんな二人なんてどうでもいい感じて、テラス席へとずかずかと柵を乗り越えるようにして入ってくる。


 本当なら店内からここのテラス席へしかアクセスできないようにするために、柵があるんだろう。けどそんなのは彼らには関係ないらしい。乗り越えてやってきて、空いてる席の椅子を勝手に拝借。そしてどかっと座ってくる。でも座ってきたのは一人だけ。十字傷の男だけだ。のこりの二人の取り巻きみたいなやつはたったまま。


 けどそんな傍若無人が許されるわけがない。


「お客様。勝手に椅子を使われるのも困りますし、このテラス席は利用客にしか開放しておりません」


 そんな風に男の店員さんがやってきて 十字傷の男達へと退席を促してる。けどそんなのは彼らには響かないようだ。


「俺たち、友達だからさ」


 とかなんとかのたまってきた。そうなると、野々野足軽や山田奏にもいぶかしげな視線を向けてくる店員。こんな奴らと同類だと思われたくない二人はもちろん否定する。


「違います。自分たちは知り合いでもなんでもないです。いきなり絡まれて困ってます」


 そんな風にはっきりと山田奏がいった。すると次の瞬間、ガターン! と机が飛んで行った。どうやら十字傷の男が座った態勢のまま、机を蹴ったらしい。テラス席の席は融通がきくようにか、固定されてないらしい。そしてその十字傷の男が蹴ったテーブルが近くにいた全く関係ない客の一人にぶつかった。


「いっ――たくない?」


 その女性客はいきなりテーブルがぶつかったことで椅子から転げ落ちて、向かいにいた友達だろう客に心配してもらってる。けど不思議なことをいってた。もちろんそれは野々野足軽が力で誰にも気づかれないように勢いを殺したからだ。


 それでも完全に勢いを殺すまではいかなかったら、実際痛くない……なんてのは彼女のきのせいだろう。言葉のニュアンス的には「思ったよりも痛くなくて大丈夫みたい」だと思われる。でも大きなけがにならなかったことに、野々野足軽はほっとしてた。


 でも流石にそのままなんてするなんてできない。大きな音をきいて、ほかの店員さんも出てきてその女性客を介抱してる。


「お客様、そういうこと困ります。警察に連絡しますよ」


「ああ? ごめんごめん。俺の足、勝手に動くんだよ」


 そんな訳の分からないこと十字傷の男がいってる。いきなりのことに周囲ががやがやとしだす。一瞬何が起きたかわからない時間が過ぎて、そしてこんな面倒なことには巻き込まれたくない勢がさっさと店内から出ていき、やじ馬たちがざわざわとしだしてるのだ。


 そしてさらに十字傷の男は足癖が悪いとばかりに、最初に対応してくれてる店員さんをけった。


 腹を蹴られた店員さんが床に膝をついた。


「ああー俺の足がかってにごめんな。けどかってに動いてんだわ」


 そういってまたサッカーボールを狙うかのように足を振りかぶる十字傷の男。


「やめろ!!」


 山田奏がそう言って間にはいる。すると十字傷の男は自分の顔の傷をみせる。


「またやんのか? 今度は退学かもな」


 あいつは暴力を受けることなんて何も気にしてなんてない。まるでその目的が山田奏を追い込むことのような……とそんな事を野々野足軽は思ってた。

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