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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
191/821

190P

「はっはっ……」


 荒い息が自然と出てくる。そして冷や汗も……さっきまで地面に横たわってた筈の桶狭間忠国からこんなに息も汗も出るなんておかしい。それに桶狭間忠国は大抵の体の状態をコントロールできる。発汗だってそうだし、筋肉を自由に動かすのなんてお手の物。筋肉は実は外に膨張させるだけじゃなく、桶狭間忠国は中に膨張させることだってできる。それを意図的にすることで心拍数とかだって操ることが心臓に筋肉で圧力をかけることで可能にする――という荒業を編み出してるほどだ。桶狭間忠国の実験では3分は筋肉で無理やり心臓を止めることだってできる。そんな技術が必要かどうかはさておき……


 そんな人間離れしつつある桶狭間忠国が、目の前の存在に対して汗をかき、そして息を荒くしてる。この事実が一番信じられないのは、それこそ桶狭間忠国本人である。なにせ野々野足軽は今見てもその筋肉は平均的な男子高校生のそれだ。体も出来上がってなく、筋肉だって頼りない。体のバランスだってお世辞にもいいとは言えない。


 桶狭間忠国なら片手でひねり上げるのなんて息をするよりも簡単だ。そう……簡単なはず。なのに桶狭間忠国の頭はこう言ってた。


(逃げろ!!)


 ――と。でもそんな頭の中のエマージェンシーに対しても、桶狭間忠国の理性的な部分というか、思考は論理的に「そんなことはない」と言ってる。けどそれはおかしな話だった。なにせ桶狭間忠国は直感というのをある程度信じてる。それに体もまるで野乃野足軽と対峙するのを拒否してるかのような感じだ。頭も、そして体もこいつとやり合うのはやべーといってる。


 それならいくら合理的に「勝てるはず」とか「負けるはずがない」とか考えても、ここは引くべきなのだ。でも、色々な思いが桶狭間忠国にはあった。まずは平賀式部の事。ここで逃げ出したら、野乃野足軽を認めることになるのでは? という思いがある。そして逃げるようなやつに平賀式部の隣はふさわしくないって思うのは桶狭間忠国の勝手な理由だ。


「う、うおおおおおおおお――つっ!?」


 桶狭間忠国は声を出した。このトンネル内に大きく反響するほどの大きな声。いつもは桶狭間忠国はそんなに声を張ることはない。体がでかい桶狭間忠国には似合わないほどの声量しかいつもは出さないほどだ。それは意図的だった。なにせこの大きさで声まで大きかったら、色んな人をさらに怯えさせてしまうからだ。まずは体の大きさでビビられる。そして声の大きさでもビビられたら、コミュニケーションに問題が出てくるということを桶狭間忠国はこれまでの人生で学んでいた。


 でも今はそんなのは関係ない。ただひたすらに肺の空気が続く限り、それを思いっきり使って叫んだ。それでこの恐怖を、そして自身の臆病さを押し殺したんだ。そして拳を握った。筋肉を戦闘態勢に持っていき、制服の残ってた上半身全部が吹っ飛んだ。


 そして動き出そうとしたとき、彼は体が動かないことを知った。それで驚愕したんだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  想像できるけど、表現が素晴らしい!   [気になる点]   [一言]  もっと早く読ませてってなっちゃいます。  ファンの願望ですけど、気にせず  マイペースで良いと思います。…
[気になる点] この後どうなるのか気になる、次の更新が待ちきれない [一言] 毎朝読むのを楽しみにしています、頑張ってください
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