表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
19/816

18P

「ちょっと足軽! いつまで入ってるのよ! 小頭も御飯食べずに待ってるよの!!」


 そう言って風呂のドアを勢いよく開けてくるのは野乃野足軽の母親である。さっきから呼んでたが、野乃野足軽が全然返事をしないから心配半分、怒り半分でそんな行動に出たと見える。そして開いたドアの向こうには一瞬なにか見えづらくて、野乃野足軽の母親は「ん?」と思って目をこする。


 湯気? とも思ったけど、なんか水越しに浴室を覗いてたみたいな感じに見えたような? とか思ったが、次に見た時は足軽が湯船に使ってるのが普通に見えた。だから気の所為だったのかとおもった。


「足軽、あんた返事くらいしなさい。心配するでしょうが!」


「わかってるから、早く出ていってくれよ!」


「全く、恥ずかしがることなんて無いでしょうが。母親なんだから!」


「母親でもなんでも、恥ずかしいだろ!」


 そう言われて、安心して母親は出ていった。ちゃんと「早くしなさいよ」という声を残して。


「危なかった~」


 そう言って野乃野足軽は湯船に沈む。こうやってると普通のお湯である。けど頭には直接変な言葉が伝わってくる。きっとさっきの存在が『危なかったですね』とか言ってるんだと野乃野足軽は思ってるんだが、残念ながら伝わらない。


 さっきまで……あの宇宙のような空間に居た時は言葉をかわすことが出来てたのに……一体これはどういうことだろうか? と疑問に思う。


「今の状態じゃ、アンタの言葉わからないや……とりあえず戻ってこれたし、今度は変なことは今はしないでください」


 お湯に向かってそんな事をいう野乃野足軽は変なやつだが、誰も見てないからいっかという感じだ。再び心臓を止められたら、もう一度生き返れるかなんて保証なんてないんだ。だから野乃野足軽はまずは水の彼女にそう、念を押しておく。なにせ常識というも物がない存在である。再びなにかの間違いで殺される可能性はある。


 だからまずはそれを防ぎたかった。だって本当になんとか、力を使って心臓を無理やり動かすことで戻ってこれたんだ。できるかどうかなんてわからなかった。たまたま成功しただけ。


「ちょっと……」


 変なことをしないで……といったはずだが、なんか野乃野足軽はお湯から出られない。お湯から出られないなんてどういうことかと思うかもしれないが、野乃野足軽もわかんない。なんかお湯が張り付いてるって感じだ。そう思ってると、お湯から顔みたいなのがでてきた。そしてなにやら言ってる。


 多分だけど、野乃野足軽に不満を伝えてるんだろう。どうやら野乃野足軽には彼女の感情的な物は伝わってるようだ。


「だってしょうがないじゃないですか。貴方をそのまま連れて出歩くなんて出来ないですよ。お湯人間なんて見たら家族がびっくりします」


 びっくりで済むかどうかも分かんない。野乃野足軽は自分の家族はおおらかな方だと思ってるが、流石に夕飯を待ってる家族の前に彼女を連れて行って無事で済むなんて思ってない。そこまでの楽天家ではないだろう。普通に驚くはずだ。


「なにか入れる容器でもあればいいんですよね?」


 そんな事言ってた気がする。とりあえず自分だけ出て、小さな容器を持ってきて、それに入ってもらえばいいかと野乃野足軽は考える。浴槽の容量まるごと入れる容器なんてあるのかなんて?  そんな物がないのは流石に野乃野足軽もわかってる。けど、きっと不思議パワーでどうにかできるんじゃないかと思ってる。


「ん? ちょっ!? なんかイヤな予感しますよ」


 不穏な感情……というか、なんか『良いことを思いついた』的な感情が流れ込んできた。それは野乃野足軽にとってはなんか嫌な予感がしたから止めようと思ったんたが、彼女はそんなの聴く暇もなく野乃野足軽の鼻の中に流れ込んできた。


「あばばばばばばばばばばばばばばば!?」


 鼻の穴に大量の水を流し込まれた経験がある人はいるだろうか? それは一種の拷問の様な苦しみだったと後で野乃野足軽は語った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここまでずっと母親が口うるさい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ