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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
183/821

182P

「おはようございます。いい天気ですね。それじゃあ、行こう足軽君」


 そう言って野々野足軽を促して歩き出す平賀式部。それは暗に「お前はついてくるなよ」と言ってるようなものだった。きっとこれまでコソコソしてたし、それにようやく野々野足軽が平賀式部と付き合うことに吹っ切られたから、きっと彼女は二人の時間を大切にしたいんだろう。


 それは野々野足軽だってそうだ。実際、色々と考えたが付き合えたこと自体はとても嬉しいとおもってる。何せ野々野足軽は一生分の運を使い果たしたんじゃないか? と思うくらいのこの事実が幸運だと思ってるんだ。


「えっと……」


 あまりの平賀式部の華麗な流れに割り込んできた桶狭間忠国は言葉を返せないでいる。本当に二人の間に入ってくる気なら、こんなのでめげちゃダメだろう。けど実際、名指しされてるのは野々野足軽だけで、強引に入って来た桶狭間忠国は平賀式部に呼ばれることはなかった。


 これはきっと桶狭間忠国的には−−


「私たちの邪魔しないでね」


 −−と聞こえたんだろう。そんなきつい言葉は言ってない。けどきっと桶狭間忠国には聞こえたと思われる。ここで野々野足軽が「あいつも一緒に」とか言ったら流石に平賀式部も断ることはできないだろう。


 けど野々野足軽もそんな言葉はかけない。なにせせっかくの可愛い彼女との朝のひとときだ。その時間をむさ苦しい……それこそ男の中の男みたいな桶狭間忠国に邪魔されたいと思う奴がいるだろうか? こいつは制服よりも胴着とかが似合うような、そんな見た目のやつだ。


 平賀式部が花だというなら、桶狭間忠国は肉である。筋肉である。誰もが暑苦しいと思うだろう。どっちと一緒に歩きたいか? となったらきっと十中八九、平賀式部と歩きたいと思う。それを否定するのはそれこそ同性とかじゃないだろうか? 平賀式部が横にいたらどう考えても同性だと比較されてしまうだろう。それを嫌がるってのはあると思う。


「あっ、待って……待ってくれ!」


 もうそこにいないものとして歩き出した平賀式部とちょっと後ろを気にしつつ歩いてた野々野足軽。そんな二人に大きな声が響いた。もちろん、それを発したのは桶狭間忠国だ。その声の大きさに周囲の人たちがザワザワとする。ここは駅前である。たくさんの人がいる。それに登校時間となると通勤時間なわけで、ごった返してる駅でその声は注目を集めるには十分だった。


「えっと……」


 野々野足軽は立ち止まった。けど、平賀式部はそうじゃない。まるでいないかのように歩きつつ「足軽君、いこ」とその鈴を転がすような声でいう。ざわざわしてても何故かよく聞こえるその声はきっと桶狭間忠国にも聞こえてた。


 桶狭間忠国はその巨体をプルプルしてた。

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