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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
171/816

170P

「それじゃあ……また……ね」


 そんなふうに彼女「平賀式部」がいう。空は夕暮れに染まって、場所は彼女のタワマンのロビーである。ロビーだけど、このビルは日当たりを考慮してるから壁面がガラスで日当たりがいい。なので夕暮れの黄昏色の光が入ってきてる。そもそもがタワマンだからこそ、雰囲気を作ってるところがあるが、それがさらに夕暮れの時間で三割増となってる。


 そしてそんな黄昏の光を受けて、野々野足軽の目には平賀式部がどう見えてるか……


(天使か?)


 そんなふうに思ってた。別に平賀式部は日本人離れしてる容姿とかじゃない。現代っ子よろしく、目鼻立ちはくっきりしてるし、背もそこそこある。メリハリのある体もしてるし、その立ち姿だけで目立つほどだ。


 なにせ平賀式部は姿勢がいい。ピンと背筋が伸びてる。そして長い髪が空気に揺れる。きっと髪が細いんだろう。僅かな空気の動きでも流れる髪が、その透明さあいまって夕暮れの光を反射してキラキラして野々野足軽には見えてた。でもそれはフィルターがかかってるから……て訳じゃない。実際に誰しもにそんなふうに見えてる。


 それだけ平賀式部は美しい。そんな美しい彼女がどこか名残惜しそうに野々野足軽を見て、手を振ってる。そんな彼女をみてると、思わず野々野足軽は動いてた。平賀式部に近づいて、その体を自分の胸に抱き寄せる。


 いつもならそんなことは絶対にできない。でも野々野足軽は自分でもわからないうちにその行動に出てた。本能が抑えきれなかったのだ。


「あっ、ごめ−−」


 我に帰った瞬間に、離れようとした。けどその時にはもう平賀式部も野々野足軽の体に腕を回してた。離れられない。いいところのロビーにはコンセルジュなる人がいる。タワマンには大体いるだろう。つまりはその人に見られるてる訳で……でもその人は生暖かく二人を見守っていた。


「青春だね」


そんなことを呟いてる。


「野々野君、家、くる?」


 そういう平賀式部の声は消え入りそうだった。彼女もきっと別れるのが名残惜しかった。でも野々野足軽が行動した。そうしたら、タガが外れたのかも。確かに野々野足軽は離したくないから、この行動を本能的にとったんだ。そんなことを言われたら普通の男子高校生は二の句なく飛びついてもおかしくない。でも野々野足軽は普通の男子高校生ではない。


力を持った男子高校生で、そしてその頭にはもう一人がいた。


(あー、今日のおやつは期待できそうですね)


 そんなアホな事を宣うアースのおかげで、理性が少しずつ戻ってきてた。でもさらにそこに平賀式部は爆弾を投下する。


「今日は誰もいない……よ」

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