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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
169/822

168P

ざわざわとした喧騒、上履きがこすれるような音や、教室の安っぽい椅子が床を擦れる音、そしてもちろん教室には話し声が溢れてる。なにせこの空間には数十人の子供たちがいるのだ。


 それにこの時間……昼休みというこの時間は学校での癒やしの時間だ。皆がリラックスし、思い思いに食事をして楽しくおしゃべりをする。付き合ってる者同士は公にするか、それとも隠れてなのか……所々できっと思い思いの時間を過ごしてるだろう。


 そんな学校……寄っては教室の中で、平賀式部と野乃野足軽はお弁当をつついてる。そしてそれに教室の生徒たちは注目してる。流石にあからさまに見てるわけじゃない。それぞれで話しながら、チラチラと見てる……という感じだ。周囲の生徒たちは野乃野足軽と平賀式部のぎこちなさを見て、安心やそう長く続かないと思ってるんだ。


 でもそれも昨日まで……だった。今や昨日までと違う空気感を周囲の生徒たちは感じてた。


 なにせ二人の間の会話の量が違う。傍目に見ててもそれはわかりやすい。昨日までは――


「今日はいい天気だね」


「うん」


 ――くらいの素っ気なさだった。ハッキリ言ってそれはもう友達ですら無い。興味ないくらいである。でも今日は普通に会話してる。それこそ、教室中の生徒が今まで平賀式部と会話した量をこの弁当を食べてる時間で超えそうな……いやもう超えてると言ってもいい位の会話量。そしてついに来た彼氏彼女の定番――「あーん」――である。


 それを野乃野足軽は回避した。もしもやってたらその日から野乃野足軽は教室中……いや学校中の男子生徒から命を狙われる事になっただろう。実際既に二人は付き合ってるんだから、それだけで狙われてるのは間違いない。けど昨日まではもう別れる五秒前……位の雰囲気だったから、周囲も見守るかんじになってた。誰もがいつ別れるか……それで賭けが行われてたくらいだ。でも今日は違う。


「あーん」まで……「あーん」までやって……ないが、平賀式部がやろうとしたんだ。それは周囲からしたら衝撃だ。だって平賀式部はそんな事をするような人だと誰も思ってなかった。


 あれが彼女が彼氏に見せる顔で態度……そしてそれを向けられてると言うことは……と皆が想ってる。


「うん、美味しい。甘い卵焼き好きなんだよね」


「……よかった」


 野乃野足軽の言葉には、平賀式部はとびきりの笑顔を見せた。それは心底、心から湧き上がる様な……そんな笑顔だった。それにもちろん野乃野足軽は見惚れた。けど、それは野乃野足軽だけじゃない。 


 教室中の男子……いや男女関係なくその瞬間、平賀式部の虜になったかもしれない。

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