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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
168/817

167P

「えっと、これ……」


 そう言って平賀式部が卵焼きを差し出してくる。それはいつもみたいにきれいな黄金色の塊ではない。むしろ焦げてる。黒い部分がそこそこある。それにキレイに切れてるわけでもなくて、ちょっと崩れてる。


 その玉子焼きを平賀式部は自分のお弁当箱の蓋において……おいてくれなくて、野乃野足軽の目の前に箸でつまんで持ってくる。


(え? これって……)


 野乃野足軽は困惑してる。今は昼休みの時間だ。そしてここは教室。なにせ付き合うようになって彼らは教室で弁当を食べるようになってる。だからこれは自然なことだ。けど今の光景で教室はざわざわとしだしてる。


 だって昨日までは「本当に付き合ってる?」という感じのぎこちなさだった。食事中も殆ど会話なんてなかった。一言二言話しては、会話が途切れる……なんて感じだ。それはもう初々しさ……とかではなかった。まるで初対面の相手がなんのいじめなのか、相席になってしまった……みたいな? そんな感じだったのだ。


 だからなんだかんだ教室には色んな感情を持った人達がいるわけだが、見守るだけにとどまってた。気にしつつ、気にしないって事をやってたのだ。けど、流石に今の平賀式部の行動は気にせずにはいられなかった。特に男子諸君は。


 まさに今、それをやられてる野乃野足軽はわかってない感じだが、有る一人の生徒は心のなかで叫んでた。


(それは「あーん」だろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)


 ――とね。そうなのだ。それは見る人が見れば……というか傍目で見てると一目でわかる。平賀式部が何をしようとしてるのか……


「平賀さん、この卵焼き――」


「はい、実はこれ……」


「――なんかいつものよりも焦げてるね」


 ピシ――そんな音が教室に居た生徒たちには聞こえた気がした。男は絶句して、女子たちはくすくすしたり、ぷんすかしてたりしてる。なにも気づいてないのは野乃野足軽だけだ。


「そう……だね。こんなの……いやだよね」


 そういって平賀式部は箸をひく。けどそこで野乃野足軽は自分の弁当箱の蓋を差し出した。


「えっと、いつものは綺麗すぎるから引け目有るけど、それなら……もらいやすいかな? ほら、俺って男だし、直ぐに腹が減るからね」


「う、うん」


 結局そう言って卵焼きを貰う野乃野足軽。そしてパクっと食べた。ムシャムシャとしてそれをずっと見てる平賀式部。結局「あーん」はしなかった。だけど、次に野乃野足軽が何を言うのかと教室中の生徒たちが見守ってる。

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