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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
162/820

161P

平賀式部は悩んでた。昼休みになると、前のように空き教室でコッソリと……なんてしなくても、普通に教室で食べられるようになってた。しかも机くっつけて……


(こういう事、してみたかったんだよね)


 と平賀式部は思ってた。平賀式部には友達がいない。もうちょっと小さな時、それこそ小学生の時とかは平賀式部にも友達がいた。けどその子は引っ越していったんだ。それから平賀式部には友達がいない。小学生の時は机をくっつけて食事をするのが普通だった。いや中学までは……でも中学では机をくっつけても平賀式部の心の距離まではくっつくような存在は居なかった。そして高校はお弁当だ。


 そうなると、お昼はずっと平賀式部は一人だった。クラスにはグループが出来るのが当然だ。そういう人達は机をくっつけたりして昼食を取るって事をやってた。そんなのを羨ましそう……に見てたわけじゃないが、平賀式部はついつい、そんな光景をちょこちょことみてたのだ。


 それなら教室以外で食べても良かったわけだけど、逃げるような事はしたくなかった性格だったのだ。


「野乃野君」


「うん……いや、はい」


「……」


 なんでそこで敬語になるのか……とちょっと不満げな気持ちが上がってくる。別に顔には出さない平賀式部。けどそれはここ一週間くらい、ずっとある。ずっと一緒にいれて、そしてそれをはばかることもない。それに対してはとても平賀式部は満足してた。


 なにせ今まではずっとコソコソとしてたのだ。それにこうなる前はそれこそ毎日がストレスだった。でも今や日々の学校さえも平賀式部にとっては楽しみになってる。それこそ「ルンルン」と鼻歌を歌いたい気分くらいには。でもどうやらそれは自分だけ……と薄々平賀式部だって気づいてた。


 最初の3日くらいはただ浮かれてただけで、野乃野足軽の事にあまり気づかなかったが、流石に一週間もすると気づく。野乃野足軽がいつもと……というよりもこれまでの態度と違うと。


 確かに野乃野足軽は平賀式部に丁寧に対応してくれてた。それは平賀式部が女性だからってのもあるだろうし、彼の性格もあるだろう。けどその壁はとても薄かったと思ってた。


 でもどうだろうか? いまはこうして互いの机をくっつけて対面でお弁当を食べてる。その距離は、もう手を伸ばせば届く距離。確実に前よりも物理的な距離は縮まってる。


(なのに……どうして……)


 そこには見えない壁があって、決して届かないようにしてる……ように平賀式部には感じてた。それにそれはこれまでと違って、野乃野足軽が作ってる壁のように感じるのが、平賀式部には辛かった。

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