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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
145/816

144P

「ここ最近、変な噂が出回ってるの知ってるか?」


「え?」


 


 学校のトイレでそんな事を桶狭間忠国が言ってきた。二人は連れションしてるわけだが、桶狭間忠国の体がでかすぎて、便器から野乃野足軽を押し出そうとしてるから、野乃野足軽はやりづらくて仕方ない。


 実際、桶狭間忠国にその気はないんだろうが、自分の体の大きさを把握してもらいたい……と思ってる野乃野足軽である。


(こいつが言ってるのって……あれ……だよな?)


(調子に乗ってアホな遊びをするからですね)


(別に調子に乗ったわけじゃ……)


(怯えてる人たちを見て、楽しんでたように思えますが……)


(それは……)


 言い返すことが出来ない野乃野足軽である。数日間、野乃野足軽は力を使って、夜にちょっとした遊びをしてた。別にエロいことをやってたわけではない。ただ風に乗せて、自身の声を届けただけだ。それも別に怖いことをいってたわけじゃない。


「おかえり」とか「待って」とか「ありがとう」とか、そんな毒にも薬にもならないようなものだ。けどそんな言葉を届けても、声だけそんな物が届くと人は怖いらしい。


 バッと振り返って、最初は「気の所為」と思う。けど更に歩き出した時に、もう一度声を届けると、その人は青い顔をするのである。本当に青い顔をするので、なかなかに野乃野足軽は「楽しい」と思ってしまったのだ。


 野乃野足軽にとってはちょっとしたストレス発散なのか……それとも承認欲求を満たすための手段だったのかもしれない。ひと目に触れない……それこそ野乃野足軽の得た力は凄いものだ。


 けどそれを大っぴらにすることは出来ない。それが危険だと、野乃野足軽が感じたからだ。だからこれまで、その力を人前で見せる……なんてことはしてなかった。けど、何か特別なものを手に入れたら、見せびらかしたい……と思うのは人としての性ではないだろうか? 実際、野乃野足軽は今回のことでも見せびらかしてるわけじゃない。ただ、ちょっとしたイタズラをすることで、自分の力を実感してるだけである。


 ちょっとしたいたずら心……それでいろんなところで噂になってる事で、野乃野足軽は満足してた。


「なんか夜中に出歩いてると変な声が聞こえるっていう……」


「ああ、なんかそんなの言われてるな」


 なんてことはないかのように野乃野足軽は桶狭間忠国にそう返す。体を揺すって、あれをしまって股間のチャックをあげる。桶狭間忠国はその体も大きさのせいで、溜め込んでるアレも多いのかもしれない。先に手洗いに行った野乃野足軽が服で手を拭いてる時にようやくきた。


「でもそんなの気の所為だろ?」


「そうだな。ただそんな風に聞こえただけだろう。皆そんな事よりも、もっと大事な事があるだろうに」


 桶狭間忠国はそんな事をいいつつハンカチを取り出す。男子でハンカチまで取り出すとはなかなかに上品なやつである。


「もっと大事な事?」


「ああ、あの山田奏とかいうやつだ。どうにかして、平賀さんから遠ざけないといけない」


 そんな風に桶狭間忠国は山田奏を問題視してる。そんな山田奏はあれからずっと、今まではなんだったのかというくらいに、平賀式部へとアプローチを続けてた。

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