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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
131/821

130P

(超能力者も万能ではない……よな)


 野々野足軽は山田奏と歩きながらそんなことを思ってた。山田奏は先輩としての勤めなのか、それともそういう性格なのか、さっきから山田奏はずっと喋ってる。それに生返事をしながら野々野足軽は地震の中にいるアースと対話をしてる。


(どんな生物もずっと気を張っておくことはなできませんからね)


(でも、力があるからか、逆に使ってない時にこういうことが起きると不安になるというか……)


 野々野足軽はまだまだだ。それこそアースに比べたら、野々野足軽の出来ることなんてのはとても少ない。だからアースから見たらこいつは何を言ってるんだ? 的ではある。


(お前は一体どうやってるんだ? 何もしてな−−うおっ)


 野々野足軽は前を見ながら歩いてる−−ように見えるが、内心ではこうやってアースと共に会話を繰り広げてる。つまりはそれだけ脳のリソースがそっちに裂かれてるという分けだ。だからだろう、見てるはずなのに、反応が遅れてこういうことが起きる。


 まあつまりは通行人にぶつかりそうになってしまったんだ。


「す、すみません」


 ギリギリ回避して、そう言って頭を下げる野々野足軽。それを見てた山田奏が「気をつけなよ」と言ってきた。それにも適当な笑顔で返しておく野々野足軽。どんどんと人の喧騒が増えていってる。それは仕方ないことだろう。なにせ野々野足軽と山田奏は駅のほうに向かってる。


 だから自然と人が増えていってる。流石に危ないと思って、野々野足軽は頭のリソースをちゃんと外に向けることにした。


(ちょうどいいじゃないですか)


(何が?)


(力の訓練ですよ。どんな時だって力を使っていれば、それこそ力を使ってる状態が普通になります。要は慣れが大事ということですよ)


(それはわかるけど……)


 この状況でどんな力を使えというのかと野々野足軽は思った。なにせ駅に近づくにつれて人が多くなってるのはさっき言った通りだ。ここで使える能力とは何か? と考えてもそんなのはあんまりない。てか意味がないものばかりだ。


 確かに誰にも気づかれずに使えるような力は多いが、はっきり言って不確定多数に使うと負担が大きいものばかりだ。だから野々野足軽も普段からそんな力は発揮してない。実際普段から透視の力を使えば、それこそ男子の夢……が実現できることはわかってる。なにせ野々野足軽は道ゆく人たちの下着を見放題なのだ。


 いや、ハッキリ言えば下着のその先まで……その向こうまで見える。でも普段からそんな力は野々野足軽は使ってない。でも今のアースの言葉から野々野足軽は考えてる。


(これは……そっか自身の成長のために仕方ないことか……)


(あなたの米粒程の心が持つのなら、それもイイのでは? 力を普段から使うということでは変わりありませんし)


(…………)


 野々野足軽はこんな力を手にしてしまっても、自分が小市民だと自覚してる。なにせもしももっと野心とか、そんなのがある奴がもしも野々野足軽と同じような力を手にしたらどうしただろうか? 


 もっとバンバン派手に使ったかもしれない。もちろん、野々野足軽はまだまだできることは少ない。力は自身で努力して成長させなければ使い物にならない。でも今の野々野足軽でも、実際のところはそれなりのことはできてる。それこそ透視を使えば犯罪なんてやり放題だし、サイコメトリを使えば他人の気持ちやらそれこそ思い出とか見えるわけで、その人の秘密を知ることは一般人よりも簡単だろう。


 それを使って他者につけ込んだり、その心の隙間に入り込むことができたりする。でも野々野足軽は小市民だからこそ、そんな悪いことには使ってないのだ。その人に対して悪い……という良心が働く。


 だからさっきの発言、野々野足軽は明言してなかったが、アースはその意図に気づいて「お前にできるのか? 小市民のお前に……」と言ってるのだ。それに対しての野々野足軽は答えはこうだ。


(それじゃあ、どうやって普段から力を使うんだよ)


 結局は犯罪行為には走れない小市民な野々野足軽である。

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