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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
128/822

127P

「それで話ってなんですか?」


 日課の花壇の世話も終わって、二人はベンチに腰掛けてる。朝倉静香が買ってきた水を平賀式部は飲みつつ、そんな事を聞いた。ちなみに朝倉静香はミルクティーを買ってきた。


 放課後だけど、まだまだ沢山学内には人がいるんだろう。物珍しそうに二人の姿を見て、通り過ぎる人たちがそこそこいた。実際、ここはそんなに人が通るところではないが……それは普段の時間帯では……と言うことだ。


 今は放課後で、残ってる人たちは部活動に勤しむか、委員会活動とかをやってる人たちだろう。そういう人たちは、それこそ昼間は使わない場所とかを使って活動してる訳で、そうなるとここも通ったりはする……と言う訳だ。


 だからチラチラと視線を感じたりはするが、平賀式部はそんなのを今更気にしたりはしない。朝倉静香もそれは同じだ。二人共、注目されることにはなれてるらしい。


「山田の事。わかってるでしょ」


「好きなんですか? あの人の事?」


「――っ! デリカシー無いって言われない?」


「ないですね。友達いませんし」


「あぁ~」


 なんか納得したような感じでそう唸った朝倉静香。それに対して特にリアクションもない平賀式部である。二人の雰囲気は異常だ。実際、二人の事を知ってる学生がこの光景を見たら「スクープだ!」と思って思わずスマホを取り出す光景だと思う。


 でもそういう輩は今のところいない。それもこれも二人の醸し出すなんとも言えない空気によるところが大きいだろう。ひどくギスギスしてるわけではない。けど、二人は別に仲良しではないから、ベタベタしてるわけでもない。


 一つのベンチに座ってるが、二人の間には感染対策の仕切りでもあるのか? というくらいには壁が見える感じもある。けどお互いを拒否してないから、この距離感にいるともいえる。


 そんな微妙で絶妙な距離感に、これを目撃した人たちは興味を持って立ち止まるが、スマホを取り出してその光景を撮ろうとは思わないらしい。なにか直感でも働いてるのかもしれない。


(眺めてるだけならいいけど、これ以上関わっちゃいけない……)


 みたいな、生物としての本能がそれを阻んでる可能性はある。


「なんとも思ってないのよね?」


「朝の事、知ってるんですよね?」


「まあ」


「なら、そう見えました?」


「全然」


「先輩も勝手に私に妬いて嫌がらせする人ですか?」


「私はそんなことしないわよ。ただあれじゃ足りないって事を言いたいの」


「足りない……ですか? けどそうですね。アイツのせいで、私に変なヘイトを向けられるのはイライラするし……私のほうが迷惑してるって示したほうがいいですね」


 そんな事を真面目に思案して言ってる二人。恋バナ……のハズが、二人の間には甘い感じはまったくなかった。

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