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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
127/823

126P

確かにこの失礼先輩……というか朝倉静香は気遣いが出来る、とちゃんと平賀式部は思ってる。なにせさっきから手伝いしてるだけなのに、なかなかに気遣いしてるからだ。


 なるべく平賀式部としては関係性を持ちたくないから比較的に冷徹に接してるつもりだ。なにせ返事は全て「はい」だし、それだけで普通の人は壁を感じてしまうはず。


 それに平賀式部はなるべく話しかけんな−−的なオーラを出してる。それなのに朝倉静香は話してかけてくるし、実際下手なことをしちゃわないようにだろう……ここを管理してる平賀式部のやり方を立てようとしてくれてるのはわかる。


 都度、疑問がある部分は聞いてくる。実際平賀式部のようにそっけない態度を取る他人と一緒に作業をする……なんてのはやりづらいはずだ。それに分からないことがあっても、相手が素っ気無いと「まあいいか」とか「聞きづらい」とかなって自分の裁量で物事を進めそうなものだろう。


 それは確かに楽だろう。自分的には……でも後から「ここはそうじゃない」とか「なんでこうしたの」とか言われるものである。「なんで分からなかったら聞かないの?」とかね。そういうのが往々にしてあるものだ。


 実際朝倉静香は先輩で平賀式部は後輩である。学校というコミュニティーではそこら辺の上下関係って大きくて普通なら後輩の平賀式部は 朝倉静香に大きく出れない……ものだが、平賀式部はそんなの気にしてない。そして朝倉静香はギャルらしく、遠慮する……なんてこともなかった。


 だから最初の邂逅は二人のその性格がぶつかって口を開けば喧嘩のようになってしまう――とか言うことになってた。でも作業が始まってからは違った。こんな風に平賀式部が不機嫌です――というオーラを出してても朝倉静香は普通に話しかけくるし、なんだってちゃんと質問してくる。


 そしてそれに納得して、ちゃんと作業するのである。平賀式部も最初はそれこそいつ音を上げるか……文句をいうか……そんな事をちょっとでも言おうものならそこをつきまくって泣かしてやる……とまで思ってたが、あまりにも朝倉静香がちゃんとやるから、普通になんか信頼して作業を終わらせてしまった。


「お疲れ。ねえ、何飲む?」


「はい?」


「だぁから、何飲む? 奢ってやるわよ」


「私、ちゃんと持ってきてるんで」


「じゃあ、水でいいよね」


 そう言ってなんかタタっと走って外の自販機に行ったらしい朝倉静香。その背中を見ながら平賀式部は思う。


「やりにくい」


 とね。

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