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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
118/817

117P

「ねえ私の気持ち……気づいてるよね?」


 朝倉静香がそんな風にいった。それに対して、山田奏はすっと目をそらす。それだけで察してる……とわかる。山田奏はわかってる。朝倉静香の気持ちに。けどそれを見ないようにしてるらしい。


(なんてやつだ。爆発してしまえ!!)


 と野乃野足軽は思ってた。だってそれってキープしてるってことではないだろうか? もしもの時のためのキープ枠。それに朝倉静香という女性は入ってるのだ。そなのが許されて良いのだろうか? 確かに山田奏はイケメンだ。細くてなんだか儚げ……というのはちょっと違うだろうが、その肌も白いし、ある意味で女装とかしたらそこそこ可愛くなるんではないだろうか? って感じの中性的なイケメンとでもいおうか……そんな感じのイケメンだ。


 だからだろう、沢山の女性を惑わせたり誘惑したりするのは仕方ないのかもしれない。でもそういうのは自分自身……それこそ山田奏自身わかってるだろう。


「発言からも、山田先輩は朝倉先輩の気持ちわかってただろうしな……」


 やっぱりあの人は評判通りのいい人――ってわけじゃないと野乃野足軽は思った。なにやら闇を抱えてそうだ。


「今まで通りじゃ……いられないのか?」


「そうね。本当なら卒業まではって思ってた。大学も一緒の所行きたいし」


 なんか朝倉静香は見た目とのギャップが激しいな……と野乃野足軽は困惑してる。実際派手なグループの中でも、三年ということでこの学校では頂点に君臨してる彼女である。


 いつもはそれこそ聞き取りづらいような言葉を使ってる。彼女は違うけど。遠目に見てても、積極的に近づいていきたい……と思えるような人種ではない。他のギャルはそれこそ……野乃野足軽は住む世界が違う生き物のように見てたし、ギャルってなんであんな大きな声で話すんだろう……と嫌悪感さえ抱いていた。


 でもどうだ? 今の朝倉静香に対して、野乃野足軽はなんか心がムズムズする。というか、朝倉静香に共感して、「この男、何言ってるんだ?」とかイラッとしてる。さっきまではそれこそ男として、山田奏には敵わないと思うことへの焦燥だった。でも今はなぜか野乃野足軽は朝倉静香に共感して、山田奏に怒りを覚えてた。


 今まではギャル全般に対して苦手意識があったから朝倉静香に対してもそれが働いてた。たしかに彼女は違うとは聞いてたが、ちゃんと知ってたわけじゃなかったからだ。それは今だって変わらないだろうけど、こうやってみてると朝倉静香の可愛らしさとかいうか、女らしさがちゃんと感じれてた。だから高感度がうなぎのぼりになってる野乃野足軽だ。でもそれはギャルに対してって訳じゃない。それは朝倉静香という人物に対してだ。


(なんで普段から今のように振る舞ってないんだ?)


 絶対に今の感じのほうが男ウケいいだろう。けどもしかしたら、彼女は男ウケとかよりも、逆を狙ってるのかもしれない。それにどう見ても……彼女は山田奏が好きなのは明らかだ。だからこそ、他の男が近づいてこないように? 


(めっちゃ健気じゃん)


 今まで苦手な先輩、近づきたくない人種だと思ってた。けど今は彼女を野乃野足軽は心から応援してる。

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