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アイドルは偽装する。  作者: キノシタ
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第84話/FLY HIGH

今日はメンバーが事務所に来ており、みんなが集まった部屋の中で美香と由香里がいつも通り元気よく話している。

今日はよっちゃんから早月役の結果をみんなに伝える日だ。私と梨乃は昨日聞いているから結果は分かっているけどドキドキする。


「みんなー、揃ってる〜?」


ドアを開け、みんながいるのを確認しながらよっちゃんが資料らしきものを机の上に置く。そして、一呼吸し私達を一瞥した。


「今日、みんなに集まってもらったのは鮎川早月役の結果が出たからで…なんと早月役!みのりに決まりました!」


よっちゃんの言葉に美香と由香里が驚いた顔をしている。私は少しだけ怖かった。

ヒロイン役を梨乃がやる。そして、鮎川早月役を私がやることになり美香と由香里が拗ねたり怒ったりするのではないかって。


でも、私の予想とは裏腹に美香と由香里は「凄いー!」と喜んでくれて嬉しかった。

よっちゃんや梨乃も2人の様子を見てホッとしている。私は嬉しくて2人にありがとうと心の底からの感謝の気持ちを伝えた。


「凄いね!2人もドラマに出るなんて」


「でも、私も出たかったな…まぁ、早月役は最初から無理だって分かってたけど」


「私とゆーちゃんじゃ、鮎川早月とイメージ全然違うもんね。でも、私ね。本を読んでいた時から早月がみーちゃんみたいって思ってたから嬉しい」


出会った当時はまだ15歳と16歳の2人がいつの間にか大人になり、きっと悔しいはずなのに私を応援してくれる。


「美香、由香里…私、頑張るね。絶対、ドラマを成功させてCLOVERを全国に広める」


「うん。みーちゃん、頑張ってね。でも、簡単にセンターの座は奪わせないよ。私もいつかドラマや映画に絶対出るし」


「ちょっと!私だってセンター狙ってるし。美香には負けないから。よっちゃん!私はグラビアをやりたいから仕事よろしくね!」


「分かってるよ。由香里に必ずグラビアの仕事を取ってくるね」


それぞれ夢を語る2人。常に前を向いており、私はいつも2人の明るさに助けられる。

私はやっと罪悪感みたいな感情が消え、気持ちが軽くなった。私は2人の分まで梨乃とドラマを必ず頑張ると決めた。


「あっ、美香と由香里。今回のオーディションはダメだったけど、これから沢山の映画やドラマのオーディションを受けてもらうから。勿論、梨乃とみのりにも」


「はーい!」


終わった過去は引きずらない。美香と由香里はもう前を向いている。

きっと、美香も由香里もいつかチャンスを掴むはずだ。そして、私も頑張らなきゃ。今回はチャンスを掴めたけど次は分からない。


「えっと、あとみんなに報告することは…あっ、MVの撮影日決まったよ。はい、これ絵コンテね。当日までにダンスの復習と絵コンテに目を通していてね」


よっちゃんに配われた初めての絵コンテ。何度かMVっぽいやつは撮ったことがあるけどビデオカメラは固定だったしMVとは程遠い。

メジャーデビューは全てにおいてランクアップする。特にドラマ効果は絶大だ。


「あっ、もう一つ言うことあった!美香、由香里。私、CLOVERの専属マネージャーになったからよろしくね」


「やったー!」


よっちゃんの言葉に2人が手を上げて喜び、昨日聞いていた私と梨乃も笑顔で手を叩く。

みんな、よっちゃんが大好きでずっと私達を支えてくれた。10代の私達の世話は大変だったと思うけどやっと恩返しができる。


ここからだ

CLOVERが青空に出発する

私達は翼を手に入れ、羽ばたこうとする


昨日、何度も漫画を読みこみ、早月のキャラについて色々と調べた。そして、自分の中で早月が固まってきた。

きもは佐藤小春と鮎川早月の人気度だ。1位2位を争う人気キャラの2人。


既に「彼女はちょっと変わっている」の実写化の噂が広まっており、SNSでは佐藤小春と鮎川早月を誰が演じるのか議論されていた。

主人公と三番手より重要視されているキャラであるからこそ、小春と早月の役はオーディションをしたのかもしれない。


みんなにピッタリの配役だと思われるよう頑張らないとCLOVERの未来がかかっている。

そして、私の未来も。だから、梨乃と何が何でもあゆはるを盛り上げてみせる。


需要があるなら供給するだけ

それが演じる者の役目だ

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