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アイドルは偽装する。  作者: キノシタ
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第80話/燃えるジャンキー

松本梨乃.side


ライブハウスに音楽が鳴り、ステージに出てきた私達を見て、ファンのみんながみのりの髪型を見て驚いている。

みんな、みのりに釘付けだ。それぐらい、髪型が似合っていてみのりのファンの田中さんなんて目がハートになっている。


今日もいつも通り、最高のパフォーマンスをする。だけど、私はある一瞬を狙っていた。

私とみのりが真ん中に来て顔を見合わせる瞬間を待ちに待って…私は笑顔でみのりの頬にキスをする。やっと見せつけられた。


ウオォー!キャー!って地鳴りのような声と悲鳴に近い声が聞こえ、私は心の中で笑う。

みのりのー!って沢山の声が聞こえてきて、私の顔が最高の笑顔になる。突然、頬にキスをされたみのりは戸惑っていたけど、この前も頬にキスをしてるし平気でしょ?


美香と由香里は気にしない。みのりは私のだし、ファンはみのりのを求めている。

きっと、美香も由香里も肌で感じたはずだ。みのりのの人気を認識したはず。

よっちゃんが眉を顰めたのに気づいたけど、気にしない。これはパフォーマンスの一環だ。


MCタイムに入り、美香が私がみのりの頬にキスしたことにツッコミを入れる。

顔は笑ってるけど、内心は怒っているはずだ。でも、美香はプロだから顔には出さない。

みのりは「びっくりしたー」と今も戸惑っており、私は笑顔でしてみたと言った。


きっとファンの人は驚いているだろうね。私はメンバーにキスをするタイプではないし、大人しいキャラだと思われている。

私だってやる時はやる。恋をして内気な性格を変えると決めたんだ。指を咥えて待っていても何も変わらないと知ったから。



ライブが終わり、いつもの物販会とチェキ会が始まる。今日はみのりと私の列が多く、みのりには髪型の感想、私はキスについて何度も驚いたよーと言われた。

でも、反応は上々だ。みのりのを応援するねって何度も言われたし。


今日のライブでみんなにみのりのを知らしめることができ私は満足している。

例え、後でよっちゃんに怒られてもこれはパフォーマンスの一環だと言い張る。

美香や由香里に怒られてもいい。そんなの気にしないし、私の反撃は始まったばかり。





吉田夏樹.side


梨乃が…って頭が痛い。まさか、みんなの前でみのりにキスをするなんて。

普段大人しい子ほど暴走しやすいは当たっていた。一番の問題児は梨乃だった。

みのりに恋をした梨乃の態度が変化していっているのに気づいていたのに…


きっと、梨乃は美香や由香里に宣戦布告をしたのだろう。みのりは私のものだと。

でも、これでみのりのファンは更に増える。


これでみのりが鮎川早月役を掴んだら…


みのりと梨乃の列に並ぶファンを見つめながら、私は頭の中で計算をする。きっと、梨乃の暴走を止めるのは無理だ。

だったら、私が梨乃を見守り制御しつつ、2人をコンビとして売り出していく。みのりのを売り出した方がグループのためになる。


それにしても、恋をするとここまで人は変わるものかと驚くばかりだ。あの大人しい梨乃が変われば変わるものだ。



もし、みのりと梨乃が付き合ったら梨乃の暴走は治るだろうか?みのりは男性からも女性からもモテるタイプだから…

きっと、嫉妬が2倍になるだけだろう。今はまだ片思いだから爆発していないけど。


恋愛未経験者の梨乃はみのりを手に入れたら嫉妬の嵐に入り込んでしまう。

みのりの距離感バカは困り物だし、優しいから勘違いする人が出てくるかもしれない。


どちらにしても梨乃は嫉妬の嵐の中。みのりにキスをして満足した表情をする梨乃を見ながら今日は味の濃いジャンキーなおつまみを食べながらビールを飲むと決めた。


梨乃が暴走するなら私だって暴走したい。ストレスを仕事に待ち込むことはできないから今日の私はお酒に溺れよう。

ちょんと目覚ましをかけて遅刻はしないようにして、梨乃みたいに満足いくまで。

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