第43話/プラチナ・ラブ
松本梨乃.side
やっぱり行くんじゃなかったと後悔をする。みのりは谷口さんばかり見るし、2人の仲の良さが羨ましくて妬ましい。
こんなことで嫉妬をするなんて馬鹿げていると分かっているけど心が暴走する。
クリスマスもみのりは最後まで一緒にいてくれなかった。やっと、お店から離れることができて安心できたけど、最後にみのりが谷口さんに手を振っている姿を見てまた嫉妬をした。私が隣にいるのにって。
どうやったら…心のコントロールが出来るのかな?私の心は制御不能で突然不機嫌になったりしてみのりを困らせている。
私が悪いって分かっているのに素直に謝れなくて…我儘でダメな子になっている。
温かいカフェラテを飲むみのりの唇を見つめる。みのりとキスをした子って…やっぱり谷口さんなのかな?
みのりから谷口さん以外の友達の名前を聞かないし、、多分合っているよね。
みのりと谷口さんはキスをした。遊びだったとしても嫌だし、想像したくないのに想像してしまい、怒りで手に力が入る。
また、馬鹿をやっちゃった。慌てて力を緩めたけど、遅くて少しだけ溢れてしまった。
こうやって、私の気持ちも少しずつ溢れている。好きが押さえきれなくて、大量に溢れだそうとしているし、恋は止めることが出来なくて抑えることも出来ない。
恋は無限大だ。上限がなく好きが募っていく。でも、容量はあるから溢れ出る。
「梨乃、こっち歩こう」
「えっ?」
みのりが私を建物側に優しく押しやる。そしてみのりが道路側を歩き、、みのりの気遣いと優しさに胸がときめく。
さっきまで谷口さんに嫉妬まみれだったのに今はみのりへのときめきで一杯だ。
でも、みのりのせいでまた好きが溢れてきた。もう容量オーバーなのにみのり本人が好きを膨れ上がらせる。
もし、この想いを押さえきれなくなったらどうしたらいい?私は止め方を知らない。
みのりを振り向かせるには何をしたらいいの?みのりのを広めるだけじゃ足りない。私は早くみのりと恋人になりたい。
なのに、私は大馬鹿だ。何でこんなとこと聞いたのかな?聞きたくもないのに、みのりのことを知りたくて馬鹿をやる。
自分が苦しむって分かっているのに。
「ねぇ、みのり。ファーストキスっていつ…?」
「えっ…」
言ってしまってから私は自分の馬鹿さ加減に呆れた。でも、取り消すことも出来なくて下を向く。私が聞いたのに聞きたくなくて。
「急にどうしたの…?」
「何となく…聞きたくなった」
本当、馬鹿だよ。何でまた馬鹿なことを言っちゃったの…。本当は耳を塞ぎたくて、逃げ出したいのに止まれない。
「高1の時…」
「そうなんだ…」
誰か止めてよ!口が塞がらないの!口が勝手に動くの。誰か私の暴走を止めて!
「羨ましいな〜」
「そんなんじゃない…」
「えっ?」
「えっ、あっ…もういいじゃん。この話はやめよう。飲み物、冷めちゃうし」
そんなんじゃないと言ったみのりの声のトーンが低く…いつもの明るいみのりの声じゃなくて、私の知らないみのりの声だった。
えっ、でも…どういうこと?みのりの反応だと苦い思い出的な感じだった。
でも、相手は彼氏だよね?もしかして、相手は彼氏じゃないってこと?
やっぱり聞くんじゃなかった。知りたくないけど、相手が気になりモヤモヤが溜まる。
でも、みのりが恋愛にドライなのは、恋愛不適合者なのは何か昔にあったからなの?
みのりの目が冷めており、私は触れてはいけない部分に触れてしまった気がした。
みのりのダークな部分を知った私は怖くてドキドキする。みのりに嫌われたくない…
でも、みのりの目がいつもの瞳に戻り安堵する。いつもの優しい瞳だ。
「みのり…一口ほしいな」
「いいよ。はい」
「ありがとう。あっ、私のも飲んで」
「うん。ありがとう」
互いに飲み物を交換して…間接キス。まだ、私にはこれが精一杯。
でも、いつかみのりの唇とキスをする。私のファーストキスはみのりがいい。
私の全ての初めてはみのりのもの。恋もキスもエッチも全てをみのりに捧げたい。




