表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイドルは偽装する。  作者: キノシタ
212/221

第211話/Please, Please

吉田夏樹.side


今日の仕事が終わり、家でビールを飲みつつ携帯を見ながら「まぁ、だろうな」と呟く。

今日は日曜日で人が多く、まして森川愛ちゃんがいたから周りはざわついていた。


それに、ラブ・シュガーの聖地と言われている場所で、女の子2人が仲良さそうに撮影をしていたらラブ・シュガー好きは、もしかしたら?と勘繰ってしまう。


・森川愛ちゃんが何か撮影してた!

・藍田みのりちゃんもいたよ!

・なんか…めっちゃ引っ付いてた

・バックハグしてたよ!


SNSには面白いぐらいに今日の撮影を偶然見ていた人達の呟きが拡散されている。


・ここって…ラブ・シュガーの聖地だよね?

・確か、ラブ・シュガーのドラマ化の情報でてたよね?まだ、発表はされてないけど

・マジでドラマ化確定?

・えっ?森川愛ちゃんと藍田みのりちゃんが苅原絵里と柚木天を演じるの?

・えっ…神キャストなんだけど

・ねぇ!発表まだなの!寝れないって!


私は口角をあげ、心の中で正解だよと教えてあげる。あと少ししたら制作発表され、ラブ・シュガーのドラマ化は話題になるはずだ。

人気女優の森川愛ちゃんがGLドラマに出ること自体が予想外で話題性バッチリだし、みのりの柚木天役は確実にハマり役だ。


明日はMVの撮影で、着々とラブ・シュガーが作られていく。きっと、ファンはまた驚くだろう。MVでもキスシーンがあることに。


私も絵コンテを見た時に驚いた。でも、ドラマとは違ったキスの光景はきっと美しいものになる。監督がノスタルジックな映像にすると言っていたから私もワクワクしているし。


こんなにも時間が過ぎるのを楽しみにしているこはいつぶりだろうか?小学校の遠足以来かな?子供みたいに明日が待ち遠しい。

CLOVERが音楽番組に出る前日は緊張で胃が痛かったし、今回は緊張もなく楽しみだけがあってお酒もおつまみも美味しい。



着々と進む、みのりの新しい仕事。ラブ・シュガーの柚木天はみのりの新たな代表作になり、きっと藍田みのりが確立される。

ただ、不安要素がどうしても拭えない。みのりにハマり役すぎて怖いのだ。


きっと、柚木天役でみのりはカッコいい女の子のイメージがつく。別にカッコいいイメージが付くのは問題ない。

問題なのは次に他の役をやった時に柚木天のイメージを取っ払えるかが問題なのだ。


「もしもし…」


「夏樹ー!!!藍田みのりちゃん、ラブ・シュガーに出るの⁉︎」


今、夜の12時なのに友達の春菜から突然電話がかかってきて私は耳を痛める。バカでかい声でいきなり喋り出すから携帯を耳から遠ざけることが出来なかった。


「声が大きいって」


「だってー。SNSに藍田みのりちゃんと森川愛ちゃんがラブ・シュガーの聖地で撮影をしていたって情報が出回っていたから…」


「ふーん」


「えっ?何、ふーんって!教えてよー」


「教えられるはずないでしょ」


「その反応ってことはラブ・シュガーのドラマ化は本当だってこと⁉︎」


「知らない」


「絶対そうだよね!やったー!ドラマ化!」


「違うよ」


「えっ…嘘でしょ」


「とにかく、今週の水曜日を楽しみしてて。あっ、朝の番組録画した方がいいよ」


「何チャン⁉︎」


「秘密ー」


「私のデッキは2つの番組しか録画できないの!知ってるでしょ!」


「運に任せるしかないね」


「今度、食事奢るからー」


「5チャン」


「ありがとうー!!!ステーキでもお寿司でも何でも奢る〜」


本当だったらチャンネルも言ってはいけない情報だけど、春菜はきっと誰にも言わないし、もうほぼラブ・シュガーのドラマ化は確定事項で噂されている。


それに、春菜の反応を知りたかった。春菜はラブ・シュガーのファンだし原作ファンのリアルな反応が聞ける。


水曜日、きっと私が思っている以上に反響がくるはずだ。それほど期待値が高く、原作のファンがキャストを知り待ち望んでいる。


これも確定事項で…砂糖のように甘い愛はみんなを虜にし、中毒者を生み出す。みんな、ウズウズしてるよね?森川愛と藍田みのりが甘いキスをするのを早く見たいよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ