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アイドルは偽装する。  作者: キノシタ
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第20話/LとRの関係

ずっと前だけを見て歩いた。どれくらい歩いたかな?隣の美沙はずっと無言で付いてきてくれて美沙の優しさが染みる。

やっと決まった、望んでいたメジャーデビューが私を一番苦しめる。


あっ、もう無理だ。早歩きで歩いていた歩みを止め…下を向く。もう限界だった。涙が止まらず、地面に涙が落ちていく。

そんな私を美沙が横から抱きしめてくれて、温かい温もりに癒され静かに泣く。


「美沙…ありがとう」


「何かあったの…?」


「メジャーデビュー決まったよ」


「えっ!凄い!おめでとうー」


美沙のこの素直さと純粋さが大好きだ。いつも私を応援してくれて、ずっと美沙だけが私の味方だった。


「だけど、、苦しいことを乗り越えないと」


「苦しいこと?」


「私の中で苦しいこと」


私が四番手になったことは私の中の苦しみ。だから梨乃に迷惑をかけてはいけない。

梨乃は努力が認められ躍進した。だけど、私は苦しい。梨乃に置いていかれた。


「美沙。今日、私の家に泊まらない?」


「泊まるー!」


美沙は私が何に悩んでいるのか聞かない。理由は私が自己解決型だから。

美沙は私の一番の理解者だ。だからこそ、美沙といると楽で素直になれる。


そう言えば、高校時代…友達に美沙は私に依存していると言われた。でも、それは私も同じで美沙に依存している。


だからこそ、美沙が苦しんでいる時は必ず駆けつけて美沙の隣にいるし、私が苦しい時は必ず美沙が隣にいる。

共存って言っても良いかもしれない。私と美沙は離れられない関係なのだ。





松本梨乃.side


みのりが遠い。みのりの横はずっと私だったのに由香里になり、最後はみのりの友達の谷口さんが奪っていった。

苦しいよ、待ち焦がれたメジャーデビューが決まったのに胸が苦しすぎる。


私はずっとアイドルになりたくて頑張ってきた。中学時代に虐められ、私の心の支えだったのがアイドルで、煌びやかな世界と光り輝くアイドルに憧れた。

やっと、憧れのアイドルに近づいたのに嬉しくない。嬉しかったけど、今は嬉しくない。


まさか、私が二番手になるなんて思わなかった。私はいつも通り、端っこだと思っていて…凄く戸惑った。


そして、抱きついていたみのりの体が強張ったのに気づき、二番手を拒絶した。

私はいつもの端でいい。こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど、私はアイドルに憧れているけど目立ちたい訳ではない。


憧れていたステージで歌い踊りたいだけ。だから、立ち位置なんて関係なくて、、それに私には大事なものが出来た。



【藍田みのり】



私と同い年の女の子で私の心のオアシス。みのりといると毎日が楽しくて、みのりのことを考えると笑顔になり胸が熱くなる。

この前、カフェで久しぶりに近藤さんに話しかけられた時、虐められていた時のことがフラッシュバックし息が止まりそうだった。


でも、みのりが助けてくれて勇気を与えてくれた。昔は昔。今は今と。

私は中学卒業後、変わると決めた。憧れのアイドルになると決め、みのりと出会い…中学時代の私はもういない。みのりのお陰で昔の私から脱却できたよ。


みのりはカッコよすぎる。王子様みたいで、女の子なのに私の胸をときめかせる。


恋をしたことがない私…

この胸の痛みを知りたい。

お願いだから、みのりを連れて行かないで。


みのりと手を繋ぎながら歩く谷口さんが羨ましく、苛立つ気持ちが湧き上がる。

私はいつもみのりに腕を組む時、ドキドキしているのに2人は自然体で手を繋ぐ。

距離が近く、恋人同士みたいな雰囲気で長年連れ添った夫婦にも見える。



【アイドルとみのり】



この2つを天秤にかけた時、どっちが重いのか私には分からない。この胸の痛みの意味が分かった時、分かるのかもしれない。

2人の背中を見ながら、初めての野心…負けたくない気持ちを持った。


私は負けん気が強い訳ではない。ただ好きなことにガムシャラに頑張るタイプで、今日初めて味わった強い気持ち。

私はずっとみのりの横にいたい。みのりと一緒に頑張りたくて、私の中のみのりの優先度、好き度が変わっていく。


この前、みのりの唇をずっと見ていた。私は自分以外の唇の柔らかさを知らない。

キスってどうやるのかな?


みのりのファーストキスはいつなんだろう?

みのりはどんな人がタイプなの?

みのりはエッチしたことあるよね…


みのりに対して知りたいこと、知りたくないことが沢山ある。考えるだけで胸がギュッと痛むのにみのりの口から聞いたら私の胸の痛みはどうなるのかな?強烈な痛みがくる?


やっと憧れていたアイドルになれるかもしれないのに、気持ちが盛り上がらない。

みのりと一緒に喜べないアイドルになんてなりたくないし、やる気がでない。

私はアイドル失格なのかもしれない。

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