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アイドルは偽装する。  作者: キノシタ
202/221

第201話/夢の隙間

私はドラマに向けて打ち合わせするため朝早く事務所に向かう。午後からアルバム作成に向けての話し合いで時間が詰まっていた。

コンビニで買ったコーヒー片手に事務所の会議室に向かうと「みのり、おはようー」と朝から元気のいいよっちゃんに挨拶をされた。


「おはよう」


「すぐに行くから待っててね」


「うん」


コーヒーを飲みながら会議室の窓から外を見ると色んな人が歩いている。今の時間は出勤時間だから急足で歩いている人が多い。

私も仕事で朝早くから事務所に来た。バイト先ではなく仕事の打ち合わせのため。


この言葉の響きが嬉しくてつい広角が上がる。バイトをしないといけないアイドルから脱出できたことが何よりも嬉しいから。


「みのり、お待たせー」


よっちゃんが書類を持って会議室に入ってきた。でも、私もコーヒー買ってくる!と言いながらまた出ていってしまった。

私はとりあえず先に座り待とうと思っていると書類から愛の名前を見つける。


何で愛が?と思っていると「お待たせー!」とまた言いながらよっちゃんがコーヒー片手に部屋に入ってきた。


「今日はドラマで既に決まっていることとこれからのスケジュールについて話すね」


「うん」


よっちゃんがコーヒーを飲みつつ、書類を私の方に向ける。指で刺された所を見ると、苅原絵里役に森川愛と書かれており…見間違いじゃなかったと分かり驚く。


「えっ…苅原絵里役、愛なの?」


「そうだよ。驚いたよね。私もめちゃくちゃ驚いたもん。森川愛ちゃんクラスの人気女優だとなかなかGLドラマとかに出ないから」


「そうだよね」


「でもね、だからこそ盛り上がるよ。あの森川愛がGLドラマに出るんだから。それもラブ・シュガーは熱狂的なファンがいる漫画だし、深夜枠だからこそ過激なシーンがOKになるからファンも期待すると思う」


よっちゃんが少し興奮気味に愛とドラマについて語る。私は愛との再共演に驚きつつ、よっちゃん同様、愛がGLドラマに出ることにテンションが上がった。


愛が苅原絵里役を演じるならある程度の人気が確約するし、意外性で話題にもなる。

それに、内容が内容だから苅原絵里役が愛でよかった。ラブシーンが多いから、やっぱり緊張するし演技を学べる。


「あっ、先に行っておくね。プロデューサーからラブシーンが多いのでと言われてる。まだ、脚本は手元にないけどほぼ原作通りの話になるから頑張ってほしいって」


「うん」


「キスシーンは確実にあるし、この分だとベッドシーンも多分あるだろうね。流石に過激な感じではないと思うけど攻めた感じにはなると思う。それにプロデューサーと監督が女性だからこそ、濃厚なラブシーンも綺麗に取ると思うし期待できるよ」


愛と私はラブシーンを演じる。さっきは愛で良かったと思ったけど、ラブシーンを想像すると愛だから照れてしまうかも。

私は仲の良い友達と演技だけどキスをしたりするのだ。ベッドシーンも…


でも、深く考えても仕方ない。演技と割り切ればいいし、ドラマをヒットさせたい。

10月にCLOVERの2ndが出るからこそ、ドラマで顔を売り、CLOVERに還元する。


「今度、顔合わせと読み合わせがあるから。それからポスター撮りね」


「分かった」


「みのり。成功させようね」


「うん」


このジャンルは当たったらかなり大きい。だからかそ、ヒットさせたい。

まだ、お母さんには伝えていないけど大学受験を辞めることにしたからより頑張らないといけない。逃げ道をなくしたからには。


今日帰ったらお父さん、お母さんにドラマのことを伝えよう。そして、大学受験についても。きっと反対はしないと思うし。

ただ、GLのドラマだって言ったらどんな反応するかな?お母さんが同性の恋愛に対して嫌悪感を持つタイプなのかは知らないから…


出来れば、応援して欲しい。私にとってドラマはドラマだ。何も変わらない。

チャンスを棒に振りたくないし、オーディションを受け勝ち取った仕事だからこそ。

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