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今日はオフコラボ

いつもお世話になっております。

次回から色々物語が動いていく予定です。楽しみにして頂けたら幸いです。


※ここからは私事となります。


沢山の応援を頂き、なんとブックマーク2000件を達成することが出来ました。目標としていたことの一つなので、本当に感無量です。

また、私の執筆の最終目標としていた評価10000ptにも何とか手が届くところまで来ることが出来ました。

日々のブックマーク、評価そして感想がとても執筆のモチベーションになっております。本当にありがとうございます。


もしこの作品を面白いと思って下さったなら、ブックマークと評価をして頂けると本当にありがたいです。1pt増えるだけで本当に飛び跳ねるほど嬉しいです。



「初めまして、氷月(ひゅうが)こおりです」


 ありすさんが住んでいるというマンションの前で私達は待ち合わせた。


 バレッタさんは顔合わせの印象そのままの大人しそうな文学少女といった雰囲気で「この人があのバレッタさんなんだ……」と、分かっていても少し面食らう。


「…………えっと……初めまして。バレッタです」


 バレッタさんはちらちらと私の顔を見ながらぺこりと頭を下げてくる。


「バレッタさん、今日はよろしくお願いします」


 私が頭を下げ返すと、バレッタさんは僅かに安心した表情を見せた。多分緊張してたのかな。

 初対面の人と会う時って不安になるよね、私も実は緊張してるんだ。


「よーし、揃ってるな」


 声のするほうに目を向けると、雑誌のモデルみたいな黒いワンピースに身を包んだ真美さんが手を挙げながら歩いてくる。大きなティアドロップのサングラスがハリウッド女優みたいで、妙に様になっていた。


「こんにちは、真美さん」


「…………お久しぶりです」


「二人ともおっすおっす。それにしてもありすの奴、とんでもないマンション住んでんな〜」


 真美さんがあんぐりと口を開けながらマンションを見上げる。

 ありすさんが住んでいたのは見るからに高級そうなタワーマンションだった。

 私が住んでいるところも結構高いけど……比べ物にならないくらい高そうだな。


 事前に聞いていた通りに受付を済ませ、私達はマンションの中に入ることが出来た。

 テレビで見る三ツ星ホテルのようなエントランスを抜けエレベーターに乗り込むと、エレベーターは音もなく丁寧に上昇し始めた。何から何まで、凄い。


「……全然揺れないんだけど、これ本当に動いてんのか?」


「うーん……多分?」


 案内表示が変わっていってるから、多分動いてるんじゃないかなあ。何だか静かすぎて違和感が凄い。


 そんな冗談を言い合っていると案内表示が三十七階を示し、ゆっくりとドアが開いた。


 案内板を確認し、真美さんを先頭に進んでいく。聞いていた部屋番を見つけると真美さんは勢いよくインターホンを押した。


「はいは〜い」


 ややあってドアの向こうから声が聞こえてきた。この前通話で耳にしたあの声だ。


 ドアが開き、中から綺麗な女性が姿を現す。この人がありすさんだろうか。


「みんなやっほ〜…………えっ、こおりちゃんめちゃくちゃ可愛いんですけど!?」


 ありすさんは私を見て驚いた表情を浮かべている。


「だろ〜? ななみんはすっげえ可愛いんだよ」


 何故か真美さんが自慢げに肩を組んでくる。


「ななみちゃんっていうのかな? そういえば姫、プライベートでも仲良いんだっけ」


「たまにご飯食べに行ったりするよ」


「へえ、姫が個人的に仲良くするの珍しいね。ま、立ち話もなんだしあがってくださいな」


 広い玄関には可愛らしい動物モチーフのスリッパが三つ並んでいた。悩んだ末ウサギさんのスリッパを履いて、私はありすさんの後を着いていく。


 オフコラボが、ついに始まるんだ。





『いえーーーーーーーーい!!!!! オフコラボ始まるぞーーーーーーー!!!!』


 姫の絶叫でオフコラボ配信が幕を開けた。


『うっさ笑』『いえーーーーーーい!』『キター!』『鼓膜破れた』『バレッタってオフコラボ初?』『うおおおおおおおお』『ありすちゃああああああああ』『こおりちゃんはよ!』


 コメントが物凄い勢いで流れていく。ありすちゃんのアカウントで代表して配信している為、オフコラボしている四人のファンがひとつの配信に集結していた。視聴者数はもう八万人を超えている。


 用意した缶チューハイを飲みながら、画面に目をやる。

 四人の3Dモデルが笑顔で仲良く並んでいる。オフコラボの時は機材の関係か基本的にモデルが動いたりはしないんだが、お喋りがメインだから全く問題はない。ラジオみたいな感覚で聴けるんだよな。


『やっほ〜! 不可思議(ふかしぎ)ありすだよ〜! なんか姫に第一声取られちゃったけど……今日は盛り上がっていこー!』


 ありすちゃんの掛け声にコメントの流れが一段と速くなる。打ち込んだコメントを確認出来ないくらい一瞬で流れてしまうスピードになっていた。


『皆さんこんばんは。氷月こおりです。今日はありすさんのお家にお邪魔しています。ありすさんとバレッタさんとは初コラボなので、これを機に仲良くなれたらなと思っています。今日はよろしくお願いします』


 うおおおおおおおおお!!!!!!

 こおりちゃん!!!!!!


 今日も最高に可愛いな……。


 俺は素早くキーボードを打鍵しコメントを打ち込んでいく。


『こおりちゃん可愛い!!!!』


 俺の書いたコメントは驚くべきスピードで流れていった。間違いなくこおりちゃんの目には止まっていないだろう。でもそれでいいんだ、コメントなんて。


 次はバレッタが自己紹介するのかなと思っていると、俺の耳に届いたのは衝撃的な声だった。


『…………えっと。バレッタです……よろしく、お願いします』


 …………え?

 …………鳥沢さん……?


 なんと喋っているのはバレッタではなく鳥沢さんだった。いや、本人ではあるんだが。恐らくオフコラボというリアルの環境で、いつもの配信用の気持ちに切り替えられないんだろう。考えてみればこうなるのは必然のような気がした。


 コメント欄を見ると『…………?』『バレッタ?』『マジ?』『それが素なの?』といった驚きと困惑の声で溢れている。


『…………えっと……はい。これが素です……』


 聞き慣れた鳥沢さんの消え入りそうな声。まさか配信越しに聞くことになるとは。


 オフコラボ開始直後のまさかの鳥沢さんのカミングアウトに、コメント欄が一瞬フリーズするが…………次の瞬間、激流のようにコメントが流れ出した。


『かわいいいいいい!!!!!!』『ギャップ萌えヤバいんですけど!!』『もっと喋って〜〜』『バレッタ可愛すぎ』『何だこの気持ちは』『マジかマジかマジか!?』『ギャップがヤバすぎる』


「…………よかった」


 少しヒヤッとしたが、コメント欄は普段のバレッタとのギャップにお祭り騒ぎだった。本当に良かった。


『…………皆さん、ありがとうございます……。受け入れて頂いて、本当に嬉しいです……』


 スピーカーから聞こえる鳥沢さんの声は、心なしか震えているような気がした。


『ね〜だから言ったでしょ、大丈夫だって。ボクの目に狂いはないんだから!』


『…………うん……ありがとう、ありすちゃん』


 鳥沢さんとそういう話はしたことは無いけど、恐らくバレッタとのギャップに悩むこともあったと思う。

 今回配信で素を出すことが出来たのは、鳥沢さんにとって本当にいい事だと思った。


 開幕からまさかの展開を迎えたオフコラボは、そんなこんなで幕を開けた。

読んで頂きありがとうございます。


少しでも面白いと思って頂けましたら【評価】と【ブックマーク】をして頂けると、とても励みになります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 個人勢でも無いのに勝手にキャラ変えていいの? 事務所に話通してる見たいな描写あったっけ?
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