第五話
ミラーナとレジーナの二人の後をニアは追っていく。
「火の魔石を採ってきてくれって言ってたけど、そもそも魔石って何なんだ?」
そう問うと、レジーナが少し困った顔をして答えた。
「魔石って言うのは、魔力を流すだけで疑似的な魔法を使う事の出来る石のこと。
…なんだけど、詳しい内容は分かってない。そういうものなんだって思ってみんな使ってる」
「でも、私たちは魔法が使えるからこそ、魔石の存在が何のためにあるのかが気になってるの。
ロイと私たちの三人で魔石の研究をしているけど、分かっているのはあまり多くないわ」
ミラーナが付け足して言った。
二人を追っているうちに、国の外壁の近くまで来た。
外壁の上からは半透明上の膜が出ており石の壁のさらに上までを覆っている。
透明な壁のようになっている所を、二人は普通に通り抜けた。
「この透明な壁は?」
あまりの不思議さにニアがそう呟いた。
「この壁は、何千年も昔に私たち王家の人間が白鯨とある契約をして出来たものなの。私たち王家が白鯨の大切なものを保存する代わりに、私たち王家の人間に魔法の力を授け、この国をこの魔力の壁で守ってもらっているの。石の壁はその土台みたいなもの。」
「王家の人間の女性にしか魔法は使えない、そして私が持っているこの指輪が魔法の発動の鍵になってるの。逆に王家の男性は、白鯨から預かっている剣を使う事が出来て、その剣は絶対に壊れないといわれているわ。今はグロース叔父さんが使っているわね」
ミラーナが説明すると、ニアはあまり理解していないような顔をしながら壁を通り抜けた。
「行きましょう。もうすぐそこだから」
再び二人は泳ぎだし、ニアもそれに続いて言った。
少しずつ進めていこうと思います。