第四話
「何だ、ミラじゃないか、レナもいるし。お、そちらの方はお客さんか?」
「うん、まぁそんなところ。彼のグリークを見てほしいの。」
そう言うと、ミラーナはニアの背中を押し、男の前に立たせた。
男はその場に屈むと、ニアの履いているグリークを見る。
「ん...。見たこと無いタイプだな。これは詳しく調べてみないと分からんぞ。」
男は立ち上がり頭を抱えながらそう言った。
見たことが無いとはどういうことなのだろうか、そう考えていると、
「少年、少しこいつを貸してくれないか?奥の方で調べてみるからよ。」
と言ってきた。
「えっと、脱ぐという事ですか?なら、何か腰に巻けるような布でもありません?」
ニアが問うと、男は一度奥の方へ戻り一枚の布を持って帰ってきた。
ニアはそれを腰に巻くと、グリークを脱いで一度海水に浸けてから男に渡す。
「レンさん、ロイを呼んでもらってもいいでしょうか。この前のことについて話したくて」
レジーナが言うと、男は小さく「おう」とだけ答えて奥の方にいてしまった。
数秒後、入れ替わるようにしてニア達と同じくらいの少年が、丸めた紙を持って入ってきた。
「よっす、久しぶり。遠征前以来か?お、そちらの方はお客さん?」
少年はニアの前に立つと手を取って握手をした。
「俺はロイ、よろしくな。あんたの名前は?」
「俺の名前はニア。よろしく」
軽い握手の後、ロイはレジーナを連れて隣の部屋に行った。
ミラーナと話しながら少しの間待っていると、奥のほうから慌てた様子のレンが飛び出してきた。
「なぁ、少年。名前はなんていうんだ?...あぁ、すまない、自己紹介が遅れたな。俺はレンっていう。で、少年の名は?もしかしてニアか?」
「はい、ニアって言います。ご存じなんですか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが、さっきのグリーク、どうやらニア君専用のものらしい。うちは代々グリークを作ってきたが、今まで誰一人として専用のものを作った記録はなかった。つまり、存在しない技術で作られたものなんだ。しかも、高性能なうえに改造の余地が多く残っている。」
興奮した様子で語るレンに、ミラーナが落ち着くように言う。
「簡単に言うとだな、それはが作ったのか分からないし、今までにないほど高性能で、改造もできる。ちょうどグロースさんの剣みたいな感じだな。」
例えのことはよく分からなかったが、とりあえず凄いという事は理解できた。ただ、なぜそれが自分専用なのか、なぜそんなものを持っているのか新たな疑問も出てきた。
そんなことを考えていると、レンがミラーナに
「悪いんだけどよぉ、今から火の魔石を十個ほど採ってきてくれねぇか?ちょっとだけ改造が出来そうだからよ。まぁ、改造自体はロイに任せるんだがな」
と言った。
「わかったわ。じゃあレジーナを呼んでくるからニアはそこで待ってて」と、
ミラーナも隣の部屋に行ってしまった。
「あの、レンさん、改造はロイに任せるって言ってましたけど、レンさんはしないんですか?」
ふと、疑問に思ったことを尋ねる。
「あぁ、知識に関しちゃ、俺の方が数段上なんだがな。技術に関してはあいつの方が上なんだ。もちろん俺が下手ってわけじゃねぇ、ただ、あいつは天才なんだ。」
そう語るレンさんは、何処か誇らしげな顔をしていた。
二人が戻ってくると、ニアはグリークを返してもらい店を出た。
「頼んだぞ、無理はしなくていいからな」
レンとロイに見送られながら、三人は店を後にした。
もういっそのこと不定期更新という事にしてしまおうか。