第三話
「綺麗だ...」
言葉を忘れたかのようにニアが呟く。
「そう?」
とミラーナが問う。
「うん。初めて見たよ、こんな景色」
「そう?なら、よかった」
ミラーナが照れたかのようにレジーナの方に視線を向けると、レジーナも同じように笑っていた。
「ミラーナのお父さんが、この国の王様なんだっけ」
「そうだよ、15年前に即位してから、景観や国民の生活のし易さとかを考えて、少しずつ今の形にしてきたの。だから、綺麗って言って貰えるとうれしい」
と、レジーナが答える。
「街の案内しよっか。早くしないと時間なくなっちゃうよ」
そう言うと、ミラーナがニアの手を取り泳ぎだした。
ニアはどう泳げばいいのか分からず、その手に引かれて海の中を移動する。
ひと一人を引っ張っているにも拘わらず、そのスピードはなかなかに速かった。
「あ、そうだった。ニアはグリークの使い方覚えてる?」
突然、ミラーナが聞いてきた。
「覚えてないなら、教えてあげよっか。町の中を泳ぎながら練習しよ」
「グリークって、今履いているこれのことだよな。これを使うと早く泳げるのか?」
「うん、そうだよ。魔力の流し方次第でいろんな方向に推進力を与えるの。感覚を掴むまでは難しいけど、慣れると移動が楽になるし、基本的にみんな着けてるよ」
そう言うと、ミラーナはグリークの使い方について説明し始める。ニアがグリークに慣れるまで、長くはかからなかった。まるで使い方を知っていたかのように自在に使いこなすニアを見て、レジーナは驚いていた。
その後、二人に案内されて、街のいろいろな所を見て回った。
正直、驚いていた。すれ違う人達は、みんな笑顔で二人に挨拶をする。たまに止まっては会話などをしていた。ミラーナは上の立場の人間のはずなのに、人々との壁が一切感じられなかった。
「ここで最後だよ」
と言い、工房のようなところに案内された。
店の中に入るとミラーナが
「おーい、レンさーん。いるー?」
と呼びかける。
すると、一人の男が、店の奥の方の穴から降りてきた。
他の小説のストーリーを考えてたら、いつの間にかこんなにも期間が開いてしまったことを謝罪したいのですが、よく考えたら見ている人がいないじゃないか。
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