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婚約破棄がはじまらない!!  作者: りょうは
'ラブファン~side M~
17/132

6’.5歳半 メアリーの精神崩壊

初っぱなから飛ばしてます

エラーではありません


オーギュスト様!オーギュスト様!オーギュスト様!オーギュスト様ぅぅうううわぁああん!!!

オーギュスト様が存在しているぅぅううああぁぁあああ!!ショタオーギュスト様マジかわたんん!!かわいすぎるううう!!可愛い!!天使!!可愛い!!天使!!可愛い!!天使!!可愛い!!天使!!可愛い!!天使!!可愛い!!天使!!あああああ天使と可愛いがゲシュタルト崩壊おこしてるよおおお!!もちろん大人オーギュスト様も大好きだけど!!だ け ど…あああかわいいいい!天使が降臨しているぞぞおおお!!!!!!教会は何をしているのだあああ!!!!!!!!早急に天使を保護しないとは職務怠慢もいいところおおおおおおおおおおおおお!!!仕事しろ!!仕事!!!あれ?か わ い いってなんだったけえ???もうなにもわかんないけどとりあえすオーギュスト様はかわいい!!つまりオーギュスト様がかわいいってことだああああ!!これが世界の全てええええ!!!

ぐあああああ!!!生きててよかった!!1回死んだけど!!蘇ってよかったあああああああ!!すべてはこの瞬間のためだったんだけね!!オーギュスト様に会うために死んだんだよおお!!!!ひゃっ!!!!くくうううううう!!神さまありがとう!!!!この世界にオーギュスト様を産み出してくれてえええええええええええええええええええ!!今こそ全ての信仰心と財布とカードを捧げますううううう!!!!!!!カードと口座の用意はできてるか!?!?!私はできているう!!!!!!!!!!!!!




はっっ!!!!!

いけない!!!!!!あまりの興奮に前世の記憶が危ないことになっていた!!!!



落ち着くのよメアリー、ここは現実。


そう。私はあらゆる法則も倫理も次元の壁すらも乗り越えたのだ。全てはこのときこの瞬間、この時のためにあったといっても過言ではない。


あらゆるオタクのあこがれ、次元のその先に私はいる。



これまでの5年と少しの人生なんて序章。

エピローグもいいところだ。すべてはこの瞬間から始まる。なんなら記憶の始まりだってここだってよかったんじゃない?あ、そうすると私が心の準備できない。


スぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅハァァァァァァァッァァァァァァ


ヒッヒッフーヒッヒッフーヒッヒッフーヒッヒッフー


って、これじゃ違うなにか産んじゃう!!違う違う!!


はい、深呼吸!!


すううううううううううううううううううはああああああああああああああ



「メアリー?殿下がこちらに」


「は、はい!」


私は表情筋に渾身の力を込めて最低限人前に出せる顔を作った。


正直この話が来た時からまともな精神を保っていられる自身はない。


なにせ絶対不可能と思われたオーギュスト様の対面だ。今までは次元の壁とかモニターとかっている強大な敵に打ち勝たないと生オーギュスト様を拝謁することなんてできなかったのだ。



え?そもそもゲームのキャラだから存在しないかって??



お黙りなさい!!!!それは言わないお約束だから!!


王宮の中庭に集められた5歳前後の女の子たちはみんなどういう理由でここに集められてか知っているようでみんな宮廷関係者にアピールしようと必死だった。



利発であること、愛らしいこと、協調性、なにが皇妃に求められるのか親たちが子どもの個性に合わせて考えた結果だろう。



公平性のために女の子たちは家名を出すことは禁じられているし、親の同伴も禁じられている。少女たちの世話役も家名がわからないようにすることというお達しが出ているくらいでいつもと違う世話役が付けられて少女たちも戸惑っているようだった。



…私に付けられるメイドってけっこう入れ替わり早いからあまり関係ないのだけどね。



本日の主役であるオーギュスト様がまだ中庭にいらしていないので、そのあいだはお茶を片手にお菓子をつまみながら女の子たちが互いに腹の探り合いをしていた。


たった5歳そこらでマウントの取り合いなんて貴族の世界は怖いこと。私も到着してすぐに何人かに声をかけられたがさっさと返り討ちにしたやった。


その時の女の子たちがどうなったかは知らない。だってこの場にいないから。こういうときメアリーの肝の強さには感服する。



飾り付けられた頭の中で一つだけ髪飾りも編み込みもしていない、誰よりも輝く黄金の御髪をみつけた。温かい日差しを受け実り豊かな稲穂色の髪は皇族特有のものだ。


人込みのなかからちらりと伺ったお顔はまだ5歳という年齢ながら利発さが垣間見え、凛々しくも幼さのある相貌はいっそ神々しささえ醸し出している。


宝石の瞳がこちらを向いて、王宮メイドがなにか耳元で伝えるとにっこりとほほ笑みを浮かべてこちらへ近づいてきた。



「やぁ、きみがメアリーだね。僕はオーギュスト。よろしくね」


「本日はよろしくお願いいたします」


「お菓子は食べたかい?」


「はい。頂きました。さすが王宮のお菓子ですわ、とても繊細な味がいたしました」


「料理長に伝えておくよ」


そう言ってオーギュスト様は次の女の子のところへ挨拶に向かった。



はあああああああ!!!!!!!!!!!緊張したあああああああ!!!ひゅうううううう!!!!悪役令嬢の肝の強さありがとおおおううう!!!!!!!!!初オーギュスト様!!!!!しかもショタ!!!!天使じゃん!!!!!!天使でしかないいいいいいいいい!!!誰だあんな天使を地上に降臨させたのは!!!!重罪だろおおおおおおおお!!!!!!!はあああ!!!今私、オーギュスト様とお話した!!!!!同じ空気吸ったぞおおおおお!!!!!!!!!!あれ?オーギュスト様と同じ空気を吸ったってことはこれ…実質キスしてるじゃないかあああ!!!!ひえええええええ!!!私、オーギュスト様とキスしたってことじゃあああああん!!!!!!まだ早い!!!!!まだ5歳なんですよおおお!!!!!ひえええええ!!!!!!!!ふああああああ!!!!




「メアリー様は殿下とお話されてもソツがありませんわね」



背後に控えるメイドが殿下の挨拶を無難に終わらせた私を労った。年若いメイドは自分が仕えるお嬢様は緊張のあまりなにか粗相をするのではないかと考えていたらしい。



「当然でしょう?あなたは一体誰に仕えているつもりなの?」


「し、失礼いたしました」



私を子ども扱いして機嫌を損ねたと思ったらしいメイドは恐縮して頭を下げた。小馬鹿にされたようで気にいらないけど少しだけ助かった。



いくら考えていることが顔にでなくても頭の中は嵐が巻き起こっていたから誰かに思考を止めてもらわないとずっと続いていそうだったから。



「さて、どうせ結果が分かっていると暇ね。女の子同士の社交って言っても退屈だし」



どうせ私はこのお茶会で誰が選ばれるのか知っている。


同世代の貴族で王位継承権を持つ子どもの中でも母親の地位が低く玉座を競う段階になったとき他の子どもに負ける恐れがあった。



オーギュスト様の利発さに目をかけていた陛下はオーギュスト様の後ろ盾になれる家を妃に迎えることにしたのだ。そこで集められた女の子たちが今日一同に会しているというわけ。



オーギュスト様の母君、ソフィア様と親交があった我が家はもちろんだしそのほかにも他の皇子についていない中立の家からも何人か集められているようだった。



いくら家名がわからないようにしたところで着ているドレスや乗ってきた魔車に馬車、帯同しているメイドたちの質、なによりも女の子たちの容姿からどこの家から来ているかおおよそは察することは出来た。


みたところ最有力候補は当然ながら、私メアリー。次点がエスターライリン家のリリー様ってところかな?



最終的に残るのは私なんだけどね。



互いにマウントを取り合うお話に興じている女の子たちを他所に私は庭園をみまわした。



「ん?今あそこに誰かいましたわ」



庭園の隅、物置小屋の影で何かが動いたような気した。およそ緑で埋め尽くされた庭園には無縁な稲穂色。私の記憶にある限り稲穂色の髪っていったらオーギュスト様くらいだけど…



「あ…え…と…」


茂みをかき分けると、そこには更に小さな天使がいた。



「か、か、か…かぁぁぁぁぁぁぁぁぁわわわわあぁぁぁぁぁああああいいいいい!!!!!!!!!」


「え?あ…その…」



その小動物のような生き物、っていうか女の子はあからさまにおびえているようだった。


たぶんまだ3歳とかそんなもんじゃないだろうか?

稲穂色のふわふわとした柔らかい髪にきゅるんとしたアーモンド型の瞳。きめ細かくもっちりとした頬。どういうわけか男の子の恰好をしているがこんなに可愛いのだ。性別なんてどうでもいい。



「なんて可愛らしいのかしら!そうだわ!私と一緒に遊びませんこと?私、お城に一部屋借りていますの!可愛いお洋服をたくさん持ってきましたから女の子のお洋服を着ましょう」


「え??え??どこ行くの…??」


「お、お嬢様!!お待ちください!!その方は…!!」


制止するメイドたちの声も、この子に付いていた従者たちの声も振り切って私は手を握るとずんずんと中庭を抜け出した。



「あなたとってもかわいいわね!!この服がきっと似合いましてよ!どうして男の子の服なんて着ていらっしゃるの?」


「えぇ…だってボク男の子だし…」


「そうですわね!!こんなに可愛いのです!男の子に決まっていますわ!!」


「意味わからないよ!!」




後に、私はこのことを何度か激しく後悔することになる。



まず最初に後悔したのはすぐ翌日のことだったけど…。



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