87話(第2部最終話)
「よっと」
地面に手をついて立ち上がる。首に手を当てて、軽く首を回しながら怜雄に尋ねる。
「あーっと。このまま何もしないで自分たちがいる組織に帰ってもらうことってできるか?」
そんな俺を見てぶるりと身震いする怜雄。
「は、......ははははは! そうだ、その眼だ! その雰囲気だ! 俺が求めているのはそれなんだよ!」
俺を指さして語る怜雄。その表情は今までで一番楽しそうだ。
「俺の能力は『エクスプロージョン』。球体を爆弾にして爆発させることができる。なあ、怖くないか!? 怖いよな!?」
楽しそうに話している怜雄を横目に俺は通路の壁に手を当てる。
「だから、つまらない! どいつもこいつも勝手に俺に負けるんだ! 何もしていないのにへりくだってくる!」
ひんやりとした冷たさを返してくるコンクリートに能力を使う。
「俺の能力を知って、俺が怖いって分かったうえで、それでも向かってくる強い奴! そいつを倒す瞬間が一番楽しいんだ!」
「長々と語ってもらって悪いが、闘うってことでいいんだな?」
水の上に浮かんでいる棒を掴むように、コンクリートの中に手を入れて、俺が作り出した『棒』を取り出す。
「もちろん、もちろんだぜ! 殺し合いだ!」
その言葉をきっかけに、というわけもないが。俺は棒を構えながら一気に駆け出す。
「うっらあ!」
先ほどバラまかれたボールをカバンに入れ直して持ってきたのだろう、そのかばんの中から野球ボールを取り出して、俺に向かって投げてくる怜雄。
俺は一旦足を止めて踏ん張り、そのまま野球ボールを撃ち返すように全力で棒を振るう。軌道は問題ない、このまま振り切れれば『当たる』。
ただ、そんな簡単にボールを撃ち返させてれる相手ではないだろう。その考えを肯定するように怜雄が叫ぶ。
「エクスプローション!」
流石に正面から爆発を受け止めるわけにはいかない。俺は片腕を通路の壁に伸ばして手を壁の中に突っ込む。そしてもう片方の腕は自分の頭を庇うように顔の前に置く。
爆発はそこまで大きいものではない。ダメージになるのは間違いないが、一度や二度喰らった程度では致命傷にならない。
爆発が収まったと同時に俺は顔を庇っていた腕も壁に向かって伸ばす。そのまま両方の手を使ってクライミングよろしく壁をよじ登る。
天井まで手が届くところまで来たら足を通路の壁にひっかけて軽くジャンプ。天井に手を突きさしてそのままうんていを進むときのように怜雄の頭上まで進んでいく。
そして、怜雄の頭上まで来たところで天井から手を放す。そして両手をお互いに握り合わせて一つの拳にし、『飛んできた棒を顔で受け止めてよろめいている』怜雄の頭を潰すように振り下ろす。
「エクスプローション!」
直感だろうか、それとも天井を伝っている俺の足を視界に入れたのか、怜雄が先ほどそうしたように靴の裏に埋め込んだ球体を爆発させて飛んでいき、俺から距離を取る。
当然俺の攻撃は怜雄に当たらず、そのまま拳が地面にめり込む。俺はすぐに拳を解いて、地面に片手を突っ込む。そして、能力で作り出したコンクリート製の棒を地面から引き抜く。
「逃げてんじゃねえぞ!」
怒号を上げながら棒を構えて怜雄に殴りかかる。
「誰が逃げるかよ!」
対して怜雄はもう一度靴の裏の球体を爆発させて俺に向かって飛んでくる。そしてもう一度靴の裏を爆発させて少し高く飛んだかと思えば、その勢いを殺さず、空中で前に一回転。かかとを振り下ろしてくる。
「ふん!」
その場で踏ん張って怜雄のかかとに向かって棒を振るう。こんなことをしても当然、成人男性の体重を撃ち返せるはずもない。それが分かっているから、怜雄も上からの攻撃を行ったのだろう。
バキンという軽快な音と共に棒が折れる。そこをチャンスだと見たのだろう、一旦地面に着地した怜雄が俺に靴の裏を押し付けるようにドロップキックを仕掛けてくる。そして靴の裏が俺に触れた瞬間に能力を使えば能力を使っているとはいえ、俺の体はひとたまりもない。
だから勝ち切った表情をしているのだろう。『能力で硬くしたはずの棒が折れている』理由にも気づかずに。
「終わりだ!」
瞬間、俺は棒の持ち方を順手から逆手持ちに変える。そして、鉛筆の先端のように尖っている棒の先端を飛んできた怜雄のふくらはぎに突き刺す。
「! ッガあ! エクスプローション!」
予想していなかった攻撃に驚いた怜雄だったが、それでも素早くその場から離脱するために能力を使う。その判断の速さには驚くが、もう逃がさない。
低くかがみ、地面に指を擦らせながら倒れている怜雄に向かって走る。
「ぐう......! うっらあああ!」
足に刺さっている棒を引き抜く怜雄。その痛みからだろう、呻きながら辺りに転がっているボールを適当につかんで俺に向かって投げつけてくる。
速度は大したことがない。野球で言えばフライのようにゆっくりとした軌道を描いている。ただ、怜雄にとってはそれでいいのだろう。俺の近くに来たら能力で爆発させてしまえばいいのだから。
そして、そんなことは分かっている。俺は低くかがんでいる状態からさらに少しだけ身をかがめて、地面に触れていた指を地面の中へ沈める。そして、コンクリートでできたボールを飛んできているボールに向かって......ではなく。怜雄に向かって投げる。
「知ってんだよ」
俺は口の中で言葉を転がしながら、怜雄に向かって走る足をさらに速く動かす。
そう。俺は知っている。あいつの能力の『弱点』を。
エクスプローション。球体を爆弾に変えられるとんでもない能力。爆発の大きさは物体の大きさに依存する。ここまでは今まで闘って得た情報。ここからが俺が『すでに知っている』情報。
この能力で爆弾に変えるためには、球体であること以外にある条件を満たしていないといけない。それは、『見えている』か『触れている』か。どちらかが条件なのだ。
俺が投げたボールは半身だけ起こしている怜雄の顔に向かって一直線に進んでいく。ゆっくりと飛んでくるフライのボールが俺に到達する前に、弾丸ライナーが怜雄を襲うだろう。さあどうする?
怜雄は一瞬慌てた様子になり、顔を腕で庇う。そうだよな、顔を防ぐしかないよな。そこを見逃す俺じゃない。
怜雄が投げたボールの横を走り抜けながら能力を使って拳の硬度を上げる。
そして、腕をどかして焦りの表情を浮かべている怜雄の顔に向かって、力の限り拳を振るう。
ーーーほんの一瞬でも雪音に手を出そうだなんて、ほんの一欠片でも雪音を傷つけようだなんて思わせない。
殺す気で、拳をぶつける。
恐怖を、
「うらああああああああああ!!!」
植えこんでやる。
ゴキリ。感触はないが、音が聞こえてくる。俺の拳が正面から怜雄の顔面にめり込んだ。
「ッッブ!」
そんな音を立てながら怜雄が倒れる。鼻が折れたようで、辺りに鼻血をまき散らしながら苦しげに呻いている。
だが、河合荘などという感情は一ミリも湧いてこない。むしろ逆だ。
「ぶち殺してやる......!」
俺が倒れている怜雄に近づいて止めをさそうとすると、突然怜雄の姿が消える。
「!?」
慌ててその場から一歩引いて辺りを見回す。入ってくる情報は無機質なコンクリートの壁と白い蛍光灯、辺りに散らばった野球ボールと、先ほどまで怜雄がいた証拠でもある血だまり。あとは薄っすらと聞こえてくる古木さんの歌声くらいだ。
......そういえば。柳もこんな感じで突然消えた。あの時点で栞奈はこのホールにいたのだから、栞奈の能力ではないだろう。
「............!」
少し考えてから走り出す。向かう先は、雪音がいるであろう観客席。先ほど怜雄が言っていた『雪音が観客席にいる』というのは恐らく事実だ。古木さんと雪音は連絡先を交換しているくらい仲がいいみたいだし、古木さんのライブを見に来ていても不思議じゃない。
そしてほぼ確信していることだが。......こんな事実、能力を使っていなかったら鳥肌まみれどころか鳥になってるぜ?
これ、『超能力』じゃねえか。
「やあっ!」
「甘いでござるね!」
大分長い時間刀を交えている。お互いの額は汗でびっしょりだ。
「これなら......!」
単純に影から影に飛ぶんじゃ幸助に通じない。だから先に影に向かって刀を叩きつける。それが幸助の後ろで飛んでいる間にもう一本の小刀で刀を交える。そして、お互いがもう一度斬りかかる一呼吸の隙を狙って、幸助の後ろに瞬間移動する。
「「っふ!」」
お互いの呼吸が重なる。幸助はこんな奇襲簡単に対応してくる。私の短刀に刀を合わせてから一度弾き、能力を使う。
「かまいたち!」
「くっ!」
たまらず私の短刀で防ぐけれど、突然の見えない衝撃に対応しきれず短刀を手放してしまう、ように見せかける。
「これで!」
先ほど移動させた刀を空中で手に取って幸助に斬りかかる。が、幸助はすでにそれを読んでいたようで、私が握った刀を蹴り上げる。そしてそのまま私の首に木刀を突き付けてくる。
「いった......」
この作戦も今の闘いの中で思いついたもの。空中に浮かんだ刀を握ることは出来ても、予想していなかった衝撃を受けてなお刀を握っていることは出来ない。思わず手放してしまった刀が今頃になってカランと転がる。
......このまま刀を拾い上げて闘いを再開しても、幸助には勝てないだろう。こんな状況でも私自身を傷つけず、刀や刀を握っている手だけを狙って攻撃していたのだから。
「......負けちゃった」
「その割には、随分可愛い笑顔でござるね」
負けを認めて両手を上げた私。それでも油断せずに私を睨んでいた幸助の表情に驚きが浮かぶ。そんなに驚かれる表情をしているのだろうか。
「やっぱり、幸助は強いね」
「いやいや。栞奈殿も強かったでござるよ」
「強い、じゃだめなんだよね。幸助に勝てないと」
「まだやるでござるか?」
「んーん。もうやんない」
ゆっくりと動いて、そこらに散らばっている刀を拾い上げる。机とか椅子も散らばってるし、悪いことしたなあ。
「満足したならよかったでござる」
安堵した表情で木刀をしまう幸助。
「......そしたら。伝えないとね」
「? どうしたでござるか?」
自分のものは回収した。それじゃあ、伝えないとね。
「幸助。私、しばらくいなくなるね」
「......? なにを言っているんでござるか? 一緒に清木教授に保護してもらうんでござろう?」
当然戸惑った様子で私に詰め寄ってくる幸助。そんな幸助の胸に飛び込んでしまいたい気持ちになる。
でも。
「駄目なんだ。ちょっと、野暮用でね」
「何があるんでござるか? 拙者も助太刀「駄目」
幸助の言葉を遮って首を振る。一歩だけ、とん、と後ろに跳ねる。
「でも。絶対戻って来るから」
無理やり作った笑顔で幸助にそう告げる。でも、幸助は心あらずな様子で固まったかと思うと、何かに思い当たったようで声を挙げる。
「ーーーまさか。『栞奈御庭番』を壊滅させに!?」
「ん。一応、私が発令した組織だからね」
「駄目でござる! 一人でどうにかできるなんて考えは捨てるでござる!」
「そんなこと考えてない。本当に助けてほしい時にもう一回声を掛けるよ。『防人』に」
「......考え直してくれないか? 栞奈」
思わず、ドキッとする。
幸助が、時代劇口調を捨てて、本音で、私を呼び止める。
意味もなく、こちらに手を差し伸べて。
困ったように、悲しそうにこちらを見つめながら。
ああ、その手を取りたい。楽な道に逃げたい。ーーーでも、ダメだ。ダメなんだ。
「困っているなら、手を取ってーーー「駄目なの!!」
叩きつけるように叫ぶ。それは幸助に向かってじゃなく、自分に向かって。
「ーーーわがままでごめんね、幸助」
それだけ言い残して、能力を使う。もうこれ以上幸助の顔を見てたら、手を取ってしまいそうだ。
見慣れた真っ暗な空間が、普段よりも少しだけ黒を増しているように見える。
私が、これからの人生を歩む中で、あなたの隣を、胸を張って、笑顔で歩みたいから。
罪は償わないといけないんだ。
「雪音」
「ん、蔵介......って、随分汚れてるね?」
歓声が鳴りやまない観客席。その中のゲストの席の一つに雪音を見つける。よかった、無事みたいだ。
「はああああーーー」
「な、なに? ため息なんか吐いて」
「いや、何でもないよ」
「そう? ならいいけど」
ポンポンと隣の椅子を叩いて僕を隣に座るよう促す雪音。もうくたくただ、逆らわずにどっかりと雪音の隣に座る。
「......」
「......」
二人で黙って、しばらく古木さんのステージに耳を傾ける。しばらくすると、雪音が恐る恐るといった様子で声を掛けてくる。
「......ね、ねえ」
「んー?」
「栞奈さんと会ってたの?」
「んー。ちょっとだけね」
「......それって、告白の返事、とか?」
「へ?」
告白? なんのはなし? 思わず目が点になってしまう。
「告白なんてされてないけど?」
「え? でもだって、栞奈さんと私がいた時、栞奈さん、蔵介に『君のことが好きなの』って告白してなかった?」
「............」
え。あれって『僕の胸が隙なの』って言ってたわけじゃないんだ。
「僕、勘違いしちゃってたみたいだ。告白に関しては特に話してないから、向こうも忘れてるんじゃない」
「ほんと?」
「ほんと」
「......ふうん」
それだけ聞くと、嬉しそうに微笑む雪音。な、なんだろう。勘違いしそうになるからその表情はやめてほしい。
「そっかそっか」
ただひたすらに頷きながら笑顔を浮かべる雪音。もうこれ、勘違いしちゃってもいいんじゃないか?
そんなことを呑気に考えている僕の肩に誰かが手を触れる。
「おい、上木蔵介」
「ん? ああ、杏。どしたの?」
「お前、栞奈様から何を言われていた?」
「え? 何って......朝倉君を襲うって」
「そんなことは知っている。もっと前、初めて接触した時のことだ」
焦れた様子で僕に話をさせようとしてくる杏。もっと前で、初めて接触した時のことっていうと、今雪音とちょうど話していた......
「あの、栞奈さんに告白されたんだけど」
なんとなく、言い訳がましく答える。すると、杏はショックを受けた様子でその場に座り込む。
「ど、どしたの?」
「......どうしたもこうしたもあるか......」
「ねえ、蔵介。ちょっと外で話した方がいいんじゃない?」
「ん、そうだね。杏、詳しく話してもらうよ」
「......好きにしろ」
「いや、僕がなにかするんじゃなくて杏に話してもらうんだよ。ほら、こっち来て」
僕と雪音と杏で一旦ステージから離れる。そして、歓声や歌声が話の邪魔にならない程度の場所まで来たところで、杏が口を開く。
「......元々、栞奈御庭番は栞奈様のある信念の元作られた大組織だったんだ。その信念というのは『能力者の存在を知らしめる』というものだ」
「へえ」
こんな話知らなかった。そうだったんだなあ。
「ただ。ある時から栞奈様の進む方向がおかしくなっていった。無能力者も無差別に襲おうとしていたんだ。これを止めるために朝倉幸助が動いて、止めた」
「そんな関係だったんだ」
特に質問などせず話を進めてもらう。杏はすらすらと話していく。
「そして栞奈御庭番は一旦解散したわけだが。それは頭首が栞奈様から変わっただけで、実質は変わっていなかった。つまり、別のやつがリーダーになって動き回り続けていたというわけだ」
「......」
「それが、朝倉幸助を狙っていた殺し屋だ」
「ちょっと待ってよ。こんがらがってる」
えーっと。栞奈さんが過去に作った組織は解散していなくて、別の人をリーダーにして動き続けていた。その組織が、殺し屋だった、ってこと?
「朝倉君が狙われているのは」
「栞奈様をたぶらかしたからだと思われているからだろうな」
なるほど、朝倉君が殺し屋から狙われている経緯も分かった。
「それともう一つ。朝倉幸助を脅迫材料に使えば、もう一度栞奈様が組織に戻ってきてくれるからだと考えたのだろう」
「人質ってことだね」
「そうだ。だから、栞奈様は考えたのだ。『完全に失踪しよう』、とな」
「......っていうことは?」
「ああ。栞奈様と朝倉幸助の関わりが完全に断たれた場合、徐々に朝倉を狙うものも少なくなるだろう」
「でも最低限来るんだ?」
「それはそうだろうな。憎みを持っている者も少なくない。ただ、恨みを持っている奴は、栞奈様が頭首だったころのメンバーだけだ。そして、そいつらは栞奈様より弱い」
「......だから、栞奈さんが朝倉君と闘って、自分がいなくても朝倉君は大丈夫か確認しに来たってこと?」
コクリと頷く杏。ふうむ。色々な思惑が動いていたんだなあ。
「あ、それで、僕に栞奈さんが告白したらどういうことなの?」
「それは秘密の暗号......みたいなものなのだ。大分昔に話した、な」
「詳しく聞かせてよ」
「一旦解散した栞奈御庭番は、初期のメンバーで再構成されたわけだが。その時に栞奈様が話していたのだ。『次に解散するときは、私が幸助以外に告白した時だよ』とな。まあこの話も、桃の阿呆が栞奈様に『朝倉幸助のことが好きなのか』などという愚問を問うた時の話で、正直忘れていた」
「......それって、遠回しに答えてるよね?」
恋バナになった途端雪音が声を上げる。杏は頷いて肯定する。うーん、良く分からない。
「というか、なんでそんな暗号を僕に伝えたんだろう」
「......栞奈様は情に厚い人だ。俺たちにそれを伝える時に涙を流す姿を見せたくなかったのだろう。あとは、栞奈様がいなくなった時に俺たちが気づけるようにしたとかだろうな」
「そうだね。というか、このゴタゴタの前に栞奈御庭番は解散することが決まってたんだね」
「......だな。恐らく、栞奈様も朝倉幸助の実力を知っていたのだろう。自分では敵わない、ということも。だから、聞かなければ絶対に漏れない形にして、先に貴様に伝えておいたのだろう」
そうだよね、栞奈さんから告白されたなんてこと、こんなに忠誠心がある杏とかに自分から言えないもんね。それこそ聞かれない限り。
「話が逸れたな。つまり、栞奈御庭番は解散。栞奈様を追うことももうしない。本人もそれを望まれているだろうしな」
「ふうん。それじゃあ一件落着なんだ」
それを確認して、ドッと疲れがあふれてくる。もー、ほんとに疲れた。
「ここで解散したということは、栞奈様はもう戻ってこないのだろうな......」
そんな風に疲れを全身で感じている横で、寂しそうに杏が呟く。うーん、こればっかりはどう慰めていいか分からない、けど。
「まあまあ。そのうち帰って来るなんて無責任なことは言わないけどさ。きっと栞奈さんもどこかで元気にしているよ」
「......知ったような口を」
「そうとでも考えないとやっていけないでしょ」
呆れたように言い残して、のんびりと会場へと足を向ける。
「あれ、随分疲れてるけど、まだ春奈さんのライブ見るの?」
「折角だしね。ちょっと挨拶でもしてから帰るよ」
「......ん、そうしよっか」
杏を取り残して帰ろうとすると、杏が僕の肩をがっしりと掴む。
「待てい。貴様、古木春奈さんの知り合いなのか?」
「まあ、うん。知り合いだね」
「......貴様が春奈さんに何をしでかすか分かったものではないな。俺も同席しよう」
「え......ゆ、雪音?」
「んー、まあいいんじゃない?」
「流石超能力者、話が分かる」
「別に超能力は」
「関係ないけどね」
そんな感じで、三人でわいわい話しながらのんびりと会場へ戻る。
しばらくゆっくりできるといいなあ。
「......待ってる......で、ござるよ」
栞奈殿が取らなかった手のひらをぎゅっと拳に変えて、誰もいない楽屋で呟く。
きっと、帰ってきてくれるだろう。
俺の好きな人は。
少しの余韻を残して。
※ここまで読んでいただきありがとうございました!
以下、作者の執筆した感想を長く綴っていますので、お時間がない方のために要点をまとめました!
・迷走しました
・忙しすぎました
・焦りすぎました
・でもなんだかんだ、楽しかったです。
・どんどん続きます!
・ありがとうございました。
・3部は書くのが凄く楽しみです!
以上です。
お時間がない方は、一旦お別れです。ここまで読んでくださりありがとうございました。
これからも頑張って執筆していくので、なにとぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここまで執筆した感想を述べていきます。
紅茶(牛乳味)の馬鹿垂れがあああ!
はい。一旦叫ばせてもらいました。
いやあ、長かった。そして、自分に何度も呆れましたね。
ずうっっっっっと迷走していました。原因は、執筆期間が空き続けたからです。
事あるごとに延期して、そのたびに話を忘れて。一応メモは取ってありますけれど、細かい部分で忘れているところもありました。それを回収するために苦労して......もう、迷走ですね。
このお話、こんなに回り道する予定じゃなかったんですよ。栞奈御庭番と殺し屋は構想に遭ったけれど、殺し屋は元栞奈御庭番のメンバーが作った、とか。最早蛇足です。
非常に反省しております。
そして、なぜこんなに執筆期間が空いてしまったかというと。就活、卒論、就職、引っ越しのコンボがあったからですね。もう2021年はずうっと忙しかったです。
ただ。執筆期間が空いたなら一旦冷静になればいいじゃない紅茶(牛乳味)って思いますよね?
それがですね、私2015年くらいから執筆を始めて、初めて焦りを覚えたんですよ。「このまま何も投稿しないと、忘れられてしまう」って。
もう言葉通りです。言ってしまえば当たり前ですが、小説執筆は趣味なんですけれど、見てくれる人がいないと成り立たないんですね。つまり、誰も見てくれなくなったら趣味じゃないんです......とまでは言いませんけれど。今後のモチベに非常に大きく関わってきます。
第一部の最終話でも書かせていただきましたが、読んでもらえるってとんでもない原動力になるんです。元々は自分で読むことが目的で書いていましたけれど、自分読むくらいなら創るより小説を買ってきた方がよっぽど面白いし時間の節約にもなるんですよ。
でも、読むことだけではなく書くことも趣味ですから。書いている時間もなんだかんだ楽しいんですよ。
それが誰かに読んでもらうための苦労になるのか、あとで自分で読むだけで終わってしまうのかって非常に大きな差が出るんですね。誰かに読んでもらったからって自分で読めないわけではないですので、純粋に執筆の理由とやる気と楽しさが何百倍にも膨れ上がるんです。(逆に言うと、自分が読んだからって誰かが読んでくれるわけではないですので)
まあ色々言い訳がましく理由を書きましたが。皆さんに読んでもらえなくなるのが怖くて、急いで滅茶苦茶な文章を作り上げてしまったのです。(誤解しないで頂くよう書かせていただきますが、プレッシャーとかはないです! ただただ勝手に見放されるのが怖くなっただけです!)
読みづらい文章を書く方がよっぽど読者様が離れてしまうので、今後は丁寧に書きたい......のですが、やっぱり焦っちゃいます。
今後は何か効率が良い方法を見つけて、素早く丁寧に面白い文章が書けるようになりたいですね。思っているだけでは何も変わらないので、何か模索してみようと思います。
とはいえ。私が馬鹿垂れなだけですので、作品に罪はないです。
なんだかんだ面白かったですね。始まりと最後は考えてから執筆し始めているので、繋げる作業は楽しいですし、読み返しても面白いです。誤字とか回収していない伏線とか見つけてひやりとしますけれど。
今回は具体例が出せなくて申し訳ないですが、色々失敗しつつも、楽しい作品にはなったのではと考えています。
さて、今回の作品についてのお話は以上です。ほとんど身の上話になってしまい申し訳ございません。ただ、第二部の作品内容よりも、これを書いているときはこんな状況だったな、という感情の方が強くなってしまうので、落ち着いた時にまたいつか話せたらなと思います。
次のお話ですが。書きたくて仕方がありません。
もう始まりと終わりは考えてあります。なので、話しすぎるとネタバレになってしまうので端的に次回のお話のキーワードを書かせていただきますと、
『超能力』
です!
どこまであらすじ書いていいか判断しかねるのですが、少しだけ概要をお伝えさせていただきますと、
『超能力者に認定される人間のお話』
みたいな感じですかね。これだけならまあ、ふんわりと伝わるのではないかと思います。
さて、最後になります。
何度でも言います。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
モチベーションを超えたモチベーションを生み出してくださっているのは、まぎれもなく読者さんです。
つまらないお話、読みづらいお話がたくさんあったと思いますが、見放さずに読んでくださった方には感謝しかありません。
これからも頑張って執筆していくので、どうかお付き合いしていただければな、と思います。
短いですが、これを締めの挨拶とさせていただきます。
それでは、また次回のお話でお会いしましょう!




